【2027年度政府予算】風力発電関連の概算要求を読み解く
2026/09/01
国の2027年度予算の概算要求が8月31日に締め切られた。一般会計の要求総額は143兆円前後に達し、4年連続で過去最大を更新した。風力発電領域においても、経済産業省、国土交通省、環境省の3省が案件形成や基盤整備に向けた予算を要求している。
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膨らむ要求額と
新たな制度設計

一般会計の要求総額は4年連続で過去最大を更新
財務省が取りまとめた2027年度予算の概算要求は、一般会計の要求総額が143兆円前後に達し、4年連続で過去最大を更新した。高市内閣が新設した「強く豊かな日本」投資枠において、各省庁からの要求額に上限を設けなかったことが総額を押し上げる主要要因となった。
また、金利上昇に伴い国債利払い費の計算に用いる想定金利が年3.8%へ引き上げられ、国債費は過去最大の36兆6,386億円に達した。さらに政府は、従来補正予算で措置していた恒常的な施策を原則として当初予算に計上する方針へ転換し、当初予算と補正予算の一体的な編成を図っている。
政府は今年度の当初予算と前年度の補正予算をあわせた約140.6兆円を主な比較対象として位置づけているが、現時点で金額を示さない「事項要求」も相次ぎ、実際の歳出圧力は極めて強い。年末の予算編成に向けては、成長につながる施策の選別と財政規律の維持が厳しく問われる局面を迎えている。

洋上風力の
案件形成と系統強化策
経済産業省の概算要求では、全体で約4.5兆円規模におよぶ成長投資枠をはじめ、エネルギーの安定供給と脱炭素化を同時に達成するGX(グリーン・トランスフォーメーション)推進を柱の一つに据えている。風力発電分野においては、洋上風力発電の導入加速に向けた案件形成支援を重点施策として整理している。
具体的には、先行調査などを通じた事業者リスクの低減策や、浮体式洋上風力をはじめとする技術開発・実証支援を推進する方針である。さらに、風力資源が豊富な地域から需要地への送電網(系統)強化や、出力変動に対応する蓄電池等の活用策など、再生可能エネルギーの導入基盤整備に向けた予算確保を目指している。
国交省、環境省の
風力発電関連概算要求
国土交通省と環境省も、それぞれの所管領域から風力発電の展開を支える重点施策を要求している。国土交通省は省全体の重点枠(約1.6兆円の投資枠含む)の中で、洋上風力発電設備の設置や維持管理の拠点となる基地港湾の機能強化および耐荷重岸壁等のインフラ整備を加速させる姿勢を示した。あわせて、作業船などの海上運航基盤の確保や海事分野における技術開発、安全確保体制の構築を求めている。
一方、環境省は地域主導型の再エネ導入と環境保全の両立を提示している。風力発電の導入に伴う影響を最小限に抑えるための環境影響評価(環境アセスメント)の迅速化・高度化支援や、地域と事業者が協調して脱炭素化を進める地域共生型モデルの構築支援を重点施策として位置付けている。
予算枠の確保と
実効性の確保が課題
2027年度予算編成における最大の焦点は、膨らんだ概算要求の中から風力発電関連の重要施策が確実な予算枠として確保されるかにある。新設された投資枠や事項要求の取り扱いをめぐり、年末にかけて財務省との厳格な査定が行われる。
風力発電業界にとっては、単に予算額の大きさを追うだけでなく、制度の実効性と運用のスピード感が重要となる。洋上風力の公募手続きの迅速化、排他的経済水域(EEZ)への拡大を見据えた法制度との連動、さらには系統接続のボトルネック解消など、予算措置と規制改革を一体で進めることが求められている。国交省のインフラ整備、環境省の環境アセス支援、経産省の産業振興・系統強化という3省の施策が緊密に連携し、事業者の予見可能性を高める施策展開が実現できるかが、今後の導入ペースを左右する。

DATA
令和9年度 経済産業省概算要求・税制改正要望について
令和9年度 環境省概算要求書について
令和9年度国土交通省予算概算要求概要











