NEDO、次世代浮体式洋上風力の実証研究を4月中旬頃に公募開始 低コスト化を加速へ
2026/04/07
NEDOは「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究」の公募を4月中旬頃に開始する。2024年9月の5件採択に続く追加公募で、日本の厳しい気象・海象条件下で国際競争力のある低コストの浮体式技術の確立を目指す。
メイン画像:福島県沖で浮体式実証研究事業=2016年7月(出典 経済産業省)
日本独自の課題克服へ
技術実証の第2幕

福島県沖で浮体式実証研究事業=2016年7月(出典 経済産業省)
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2026年3月16日、グリーンイノベーション基金事業の一環として、「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究」に関する新たな公募予告を行った。この事業は、2030年代の商用化に向けた技術確立を急ぐとともに、2050年のカーボンニュートラル実現において不可欠な電源とされる洋上風力発電の導入加速を目的としている。
日本は平地が少なく、遠浅の海域も限られていることから、着床式に比べてポテンシャルが圧倒的に大きい浮体式洋上風力への期待が寄せられている。しかし、欧州の海域と比較して台風や厳しい波浪条件、さらには複雑な海底地形といった日本特有の課題が存在する。加えて、現時点での浮体式は着床式に比して発電コストが高く、このコスト削減が社会実装に向けた最大の障壁となっている。今回の公募は、こうした技術的・経済的課題を突破するための新たな要素技術やシステム全体の実証を支援するものである。
2024年採択分との継続性と
今回の公募の意義
この事業の枠組みでは、すでに2024年9月に5つのプロジェクトが採択されている。これらのなかには、セミサブ型やTLP(緊張係留)型など、異なる形式の浮体構造を用いた実証が含まれており、設計から製造、設置に至るまでのサプライチェーン全体でのコスト低減が図られている。今回の追加公募予告は、これまでの進捗を踏まえ、さらに多様なアプローチや補完的な要素技術の深化を狙ったものと受けとめられている。
具体的には、浮体構造そのものの軽量化や量産に適した材質への転換、自動化された係留システムの開発、さらにはメンテナンスコストを劇的に抑える遠隔監視技術などが対象に含まれる見込みだ。単なる発電効率の向上にとどまらず、日本国内の港湾設備の制約を考慮した施工法の確立など、実装に直結する現実的なソリューションが求められている。事業者は、これまでの研究成果をどのように実海域での運用に落とし込むか、より精緻な計画立案が必要となるであろう。
産業界と自治体に
求められる連携の形
洋上風力発電の展開において、技術開発と並行して重要となるのが、地域との共生と産業集積である。自治体の再生可能エネルギー担当者にとっては、この実証研究が自地域の港湾活用や地元企業の参画にどのような影響を与えるかが注視すべきポイントとなる。実証研究の段階から地域の漁業関係者や海域利用者との合意形成のモデルを構築することは、本格的な商用展開における円滑な事業運営の雛形となるからである。
また、関連事業者にとっては、今回の公募は単独企業での応募だけでなく、国内外の知見を結集したコンソーシアム形式での参画がカギを握る。海外の先行事例を日本の環境に適応させる「日本仕様」の技術へと昇華させることが、グローバル市場における日本企業の優位性を確保することに直結する。NEDOが示す厳しい評価基準をクリアするためには、LCOE(均等化発電原価)の低減に向けた具体的な数値目標と、それを達成するための革新的なエンジニアリングの提示が不可欠である。
今回の公募予告は、日本のエネルギー政策の根幹を支える技術開発が、研究室の段階から実海域での実証、そして本格的な普及へと着実に移行していることを示唆している。事業者は本」公募の詳細を精査し、既存の技術体系を打破する提案を準備することが求められる。
1.事業内容
(1)概要
洋上風力発電は、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた中核であり、我が国の気象・海象条件に適した技術の確立とコスト低減が求められています。本事業では、浮体式洋上風力発電を対象に、2040年以降の一層の導入拡大を見据え、中長期的な観点から、我が国周辺海域の特性(気象・海象条件、海域・水深特性)、系統・施工・保守等を踏まえた技術課題の抽出・整理・検証を行います。あわせて、信頼性・耐久性の向上、環境影響の把握・評価手法、社会受容性の確保、国内サプライチェーン・標準化との連携に資する取組を推進し、導入コストの着実な低減と産業競争力の強化に資することを目的とします。
(2)事業期間(予定)
2026年度~2027年度
(3)公募期間(予定)
2026年4月から2026年5月
※ 状況により、公募期間を変更する場合があります。
2.応募方法
応募方法については、公募開始日に詳細として公募要領等をNEDO Webサイトに掲載しますのでご確認ください。
3. 募集要項
技術・事業分野:風力発電
事業名:洋上風力発電等技術研究開発「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究」
事業分類:研究(委託、共同研究、補助)
対象者:企業(団体などを含む)、大学など
公募開始予定日 2026年4月中旬
DATA
「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究」の公募について(予告)
取材・文/ウインドジャーナル編集部









