【洋上風力第1ラウンド】年明け以降に再公募を実施へ 応札価格に下限と上限を設定
2025/11/25
政府は年明け以降に洋上風力第1ラウンド3海域の再公募を実施する。11月18日に開催された合同会議で新たな公募制度の見直し案を示し、了承された。次回の公募では応札価格に下限と上限を設ける。
メイン画像:洋上風力第1ラウンド「千葉県銚子市沖」
1.事業環境整備の 見直し案を公表
2.迅速性評価を 20点から10点に
3.応札価格に 下限と上限を設ける
4.1事業者1GWまでの 落札制限を適用
5.積み上げ式の評価方法 慎重な議論を要望
新たな公募制度の
見直し案を公表
政府は、公募制度の見直しを含む事業環境整備について年内をめどに一定の整理をつける意向を明らかにしている。11月19日の会議では、国側から事業環境整備と新たな公募制度の見直し案が公表された。
新たな公募制度の見直し案は、(1)事業実現性評価点の配点の見直し、(2)より精緻な事業実現性の採点、(3)迅速性の配点の引き下げとスケジュールの柔軟性の確保、(4)適切な供給価格での入札がされるための価格点の設計、(5)落札制限の適用、(6)選定事業者が撤退した際のルール設定の5点。
迅速性評価を
20点から10点に

事業実現性評価点の配点の見直し案(出典 経済産業省)
事業実現性評価点の配点の見直しでは、迅速性評価の配点を20点から10点に変更する。事業完遂の観点から計画の実行面に関する配点を20点から25点に変更するとともに、産業基盤の確立などに資するサプライチェーン形成を評価する観点から、電力安定供給の項目の名称を変更し、評価点を20点から25点に変更する。
風車メーカーやサプライヤーとの価格交渉力を確保させる観点から、スケジュールが年単位で遅延する計画変更も可能な柔軟性を確保した計画とするため、通常の工程で想定される運転開始時期に2年間の予備期間を設ける。、また事業実現性評価において、より精緻な採点を行うために、評価区分を廃止し、数百に及ぶチェック項目ごとの積み上げ式にする。
応札価格に
下限と上限を設ける

適切な供給価格での入札がされる価格点の設計案(出典 経済産業省)
価格点はこれまでと同様に120点を配点するが、応札価格に下限と上限を設ける。供給価格下限額での入札に対しては満点(120点)を与える。供給価格上限額での入札に対して付与する価格点は、各公募占用指針において、その時点の事業環境に応じて設定することとし、たとえば黎明期である現時点では100点とする。
1事業者1GWまでの
落札制限を適用
落札制限については、第1ラウンドの3海域において、同一の事業者が全海域を落札したことを受け、第2ラウンドにおいては、国内の洋上風力産業が黎明期にあることを踏まえ、多数の事業者へ参入機会を与える観点から、公募参加者1事業者あたり1GWまでとする落札制限を設けた。一方、第3ラウンドにおいては、2海域の系統容量の合計が1.1GWであったことから、落札制限は適用しないこととした。
事業環境の変化などによる建設費用の増加により、第1ラウンドの撤退が生じたことを踏まえれば、今後、サプライチェーンの構築や発電事業者によるノウハウの蓄積などにより、コストを低減していくことが必要であり、そのためには多数の事業者へ参入機会を与える必要があるため、次回以降の当面の公募においては、落札については公募参加者1事業者あたり1GWまでとする落札制限を適用することとする。
選定事業者が撤退した際のルール設定については、その後初めて事業者選定が行われる公募(撤退時点で公募が開始しているものも含む)に参加できないこととする。参加資格停止の対象となる事業者について、第1~3ラウンドの公募占用指針においては、選定事業者(SPCの場合は、公募占用計画に構成員として記載された者を含む)としているが、今後実施する公募の選定事業者が撤退した場合の参加資格停止の対象には、選定事業者だけでなく、選定事業者の親会社や、当該親会社の選定事業者以外の子会社も含めるなど現行以上の規律を検討する。
積み上げ式の評価方法
慎重な議論を要望

秋田県能代市・三種町・男鹿市沖
出席した委員からは、「2年間の予備期間の根拠を説明してほしい」、「サプライチェーン形成などについては、公正かつ適正に評価をすることがこれまで以上に重要になる」などの意見や要望が出されたが、おおむね了承された。
政府は、新たな公募制度について年内にをめどに一定の整理をつけたうえで、年明けに向けて指針を策定する方針だ。洋上⾵⼒促進⼩委員会の委員⻑で東京⼤学⼤学院⼯学系研究科教授の加藤浩徳氏は、「事業実現性評価においてより精緻な採点を行うため、チェック項目ごとに積み上げ式で評価する点について、今後どのようか項目を設定するかについて慎重に議論し、的確にリスクなどを評価する方法をつくっていただくことを期待しています」と要望した。
DATA
交通政策審議会港湾分科会環境部会洋上風力促進小委員会 合同会議(第39回)
取材・文/ウインドジャーナル編集部
2026年1月16日(金)に開催する「第5回WINDビジネスフォーラム」では、日本風力エネルギー学会 会長で、足利大学総合研究センター特任教授の永尾 徹氏が「日本の風力産業の活性化、国産風車の再興を目指して」をテーマに、風力発電産業の再構築の必要性を訴えます。

いま、日本の洋上・陸上風力発電は大きな岐路に立たされています。大学の研究者や自治体の政策責任者、最先端テクノロジーの開発企業などをお迎えして、オンラインイベントを開催します!事前登録のみで無料ご参加いただけますので、お気軽にご参加ください。









