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【東京汽船】洋上風力の発展へ一翼担うCTVのパイオニア企業

CTVの運航基準を整備

――CTV事業でどんなノウハウを得ましたか?
当社は各地での実証実験の経験や欧州の関係者との交流を通してCTVの知見を蓄積してきました。船体設計や設備、船舶の挙動などハードに関する知識の獲得に加え、CTVオペレーションの安全運航・作業、環境、労働安全衛生(HSEQ)基準全般を確立し、CTV事業を範囲とする3つのISO認証(品質、環境、労働安全衛生)を得ています。このように形は整えました。しかし、まだまだ学習すべき点が多いので、業務の運用方法を常にアップデイトする必要があるというのが実感です。

――日本政府は「2050年カーボンニュートラル」宣言を出しましたが、CTVに対するニーズの先行きをどう見ますか?
カーボンニュートラル宣言自体はもちろん歓迎です。洋上風力発電の増加とともにCTVのニーズは確実に高まります。しかし、建設、O&Mともにコストダウンの社会的要請があり、洋上風力発電業界、CTVや設備自体も進化しています。顧客の作業ニーズや気象・海象条件に合ったCTVを提供していく方針です。

地元との連携を重視

――事業をするにあたり重視する点は?
地元との協調です。当社は横浜の会社で、どこの洋上風力発電へ行ってもアウェイですが地元との連携を重視しています。当社のノウハウを生かし地元の関係者、漁協、地域の方々と共に顧客のお役に立てればと思います。また、洋上風力発電の様々なサービス提供者と連携していきたいと考えています。


航走中のJCAT TWO

――CTV以外の船舶を取り扱う可能性は?
既存の各種サイズのCTVに加え、よりサイズの大きなCTVや高性能のCTV、洋上風力向け支援船「SOV(サービス・オペレーション・ヴェッセル)」も視野に入れています。また、当社のミッションに適合した他の事業の開発を含め、日本の洋上風力市場でのニーズを注視しているところです。

――CTVでの環境対応は?
欧州では環境対応のCTVが少しずつ出始めています。ハイブリッドなど電気推進系CTVや水素混焼エンジンを搭載したCTVです。実はCTVは、ゼロエミッションに近付けるには、バッテリーの軽量化や水素サプライチェーンの確立などに依存するため、非常に課題が大きい船舶です。当社はこうした環境負荷低減型CTVも研究していますが、作業性能と顧客ニーズへの応答を第一に考えたいです。


並走するPORTCAT TWOとPORTCAT THREE

事業に共感する人材を募集中

――洋上風力発電への思いを聞かせてください。
再生可能エネルギーの未来を信じています。新しい産業として発展してほしいという強い思いがあります。脱炭素化社会の実現に向けて、各地でのプロジェクトで貢献したいと考えています。

当社は事業に共感してもらえる人材を募集していますのでリクルート用に一言。

CTVは規模からするとたいへん小さく洋上風力発電業界の末端サービス事業ですが、洋上風車へのアクセス率が洋上風力発電の稼働率を左右するので、責任の大きな業務です。海事産業の新分野で地元に根ざした仕事です。当社は乗組員の育成を重視する会社です。この分野のプロになることに興味のある方は、経験不問ですので、海上従業員、陸上従業員を問わず是非ジョインしていただきたいと考えています。

PROFILE

東京汽船株式会社 代表取締役社長

齊藤宏之 氏

問い合わせ

東京汽船株式会社
(本社)
神奈川県横浜市中区山下町2番地
TEL:045-671-7711
MAIL:info@tokyokisen.co.jp


取材・文:山村敬一

WIND JOURNAL vol.1(2021年秋号)より転載

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