注目キーワード

English 日本語

業界トピック

富山県入善町沖 今年9月運転開始へ

風力発電事業会社のウェンティ・ジャパン(秋田市)が富山県入善町沖で進めている洋上風力発電事業について、同社の佐藤裕之社長は今年3月から海上工事に着手し、9月の運転開始を目指す考えを明らかにした。当初計画よりも2年以上遅れたが、秋田市の再エネ企業が主体となって事業化にこぎつけた。

当初計画よりも
2年遅れて運転開始へ


富山県北東部の入善町沖

ウェンティ・ジャパンの佐藤社長と富山県の新田八朗知事、入善町の笹島春人町長が2月14日に記者会見し、海上工事の建設スケジュールを発表した。計画では、富山県北東部の入善町沖の水深約10メートルの海底に3000キロワット級の風車を3基設置する。最大出力は約7500キロワットで、一般家庭3600世帯分の電力使用量に相当する。海上工事を今年3月に開始し、8月の竣工、9月1日の運転開始を目指す。

総事業費は約61億円。民間企業が100%出資して港湾などを除く一般海域に洋上風力発電所を設置するのは国内初となる。風力発電所の設置と運営はウェンティ・ジャパンを中心とする特別目的会社が担う。発電した電力は「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)」を活用し、北陸電力送配電に売電する。当初は2020年に着工して2021年3月に稼働する計画だったが、事業主体の変更や設計見直しなどの影響で着工が遅れていた。その後、ウェンティ・ジャパンが事業主体となり、2022年10月から管理棟や送電設備工事などの陸上工事が進められていた。

ウェンティ・ジャパンの佐藤社長は「紆余曲折があったが、町の振興に寄与したいという思いでやってきた。今回の工事は、世界最大級の自己昇降式作業台船(SEP船)を活用して洋上風車を設置する。世界から注目を浴びる施設となることを期待している」と笑顔をみせた。入善町の笹島町長は「観光面での活用を進めるとともに、再生可能エネルギーの普及に役立てたい」と期待を寄せる。ウェンティ・ジャパンは2012年、地元銀行や電気設備工事会社などが出資して設立された。秋田県と北海道の計9カ所で風力発電事業を展開するとともに、三菱商事系企業連合が進めている秋田県由利本荘市沖の洋上風力発電事業に参画している。

清水建設の
大型SEP船を初導入


清水建設の大型SEP船(出典 清水建設)

今回の海上工事には、清水建設が約500億円をかけて建造した大型SEP船「BLUE WIND」が初めて使用される。同船は全長142メートルで、タグボートなどが不要な自航式。全幅50メートル、総トン数が2万8000トンで、クレーンの最大揚重能力は2500トン、最高揚重高さは158メートル。8000キロワット級の風車なら7基、1万2000キロワット級なら3基分の全部材を一度に搭載できる。

清水建設のSEP船は作業能力も高く、予備日をみても8000キロワット級の場合は7基を10日、1万2000キロワット級の場合は3基を5日で据え付けられる。船体のジャッキアップ・ダウンが可能で、既存のSEP船に比べ5割程度高い稼働率を発揮できるように設計された。富山県入善町沖では、SEP船を活用して洋上の基礎工事を4月上旬から下旬にかけて、洋上風車の設置工事を5月上旬から6月上旬にかけて実施する予定。

DATA

入善洋上風力発電事業 海上工事着手のお知らせ


取材・文/高橋健一

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.10 | ¥0
2026/3/17発行

お詫びと訂正

広告お問い合わせ

アクセスランキング

  1. 北海道石狩市沖で第1回法定協議会 6つの漁協が精細な調査の実施と情報共有を要望
  2. 【浮体式洋上風力市場】欧州の先行事例:政策主導の市場形成
  3. 『WIND JOURNAL』vol.10[2026年春号]3/17発行!
  4. 【コスモス商事】国内初!230HPの大型電動ROV、レンタルサービスが2027年春に始動
  5. 【洋上風力第3ラウンド】青森・山形2海域の公募占用計画を認定 風車レイアウトを正式に公表
  6. 北九州響灘洋上ウインドファームが運転開始 愛称は「Wind KitaQ 25」
  7. 【JIPテクノサイエンス】最先端の地盤解析ソフトウェアでモノパイルの設計を合理化
  8. 【長崎海洋産業クラスター形成推進協議会】GWO基本技能訓練が今年5月にスタート 国内初の洋上タワーで操船訓練も提供へ
  9. 秋田市のブレード落下事故で最終報告書「構造上の問題と損傷の未確認が原因と推定」
  10. 市民風車を支えるO&Mサービス ユーラスエナジー×市民風力発電が描く「地域共生」の未来

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.10 | ¥0
2026/3/17発行

お詫びと訂正