注目キーワード

English 日本語

テクノロジー

運搬時のブレード・モノパイルを守る! 損傷防止に加え、工数減も叶える「保護パット」

長さ数十メートル、重さ数トンに及ぶ風車のブレードやモノパイルを傷つけずに運搬するには、専用の保護パットが欠かせない。セキュテックス社の保護パットは、なぜ欧州の洋上風車の建造現場で多数採用されているのか? その理由に迫る。

高い強度や摩擦係数が最重要
輸送コストの低減にも役立つ

風車のブレードやモノパイルは超重量物・長尺物でありながら、わずかな傷も許されない繊細な部品だ。そのため、運搬や建造の際には細心の注意が要求される。ところが、洋上風力発電事業がこれから本格化する国内では、ブレードやモノパイルの保護材に何を用いればよいのか、どのようなラッシングツールが最適なのかについてのノウハウが十分に蓄積されていない。

「海外では、風車メーカーが運搬時の保護材を指定することが一般的です。しかし、こうした指定がない国内のケースでは、実際にどうやって保護材を選べばよいかわからないという声も聞かれます。洋上風車の場合は特に、塩害や湿気、ホコリなどの影響も考慮しなければなりません。先行する海外で実績のあるメーカーの保護材を使うのが安心です」と話すのは、貨物を固定するラッシングツールなどを専門に扱うルッドスパンセットジャパン執行役員の田村友裕氏。同社は、繊維スリングのトップメーカーとして知られるドイツのスパンセットグループの日本総代理店だ。

同グループの一社secutex社の風車ブレードやモノパイル専用の保護パットは、欧州の洋上風車の運搬や製造の現場で多く採用されている。

国内現場で見えてきた「運搬時の損傷対策」

 


「タワー、ブレード運送時に、本体に傷がついて、その都度補修・研磨するはめになり苦労した」という現場の声がすでにあがっているようだ。コスト的観点からも、短時間かつ確実に作業できる備えが大切だ。

secutex(セキュテックス)社とは?
繊維スリングのトップメーカー、スパンセット社などによって1982年に設立。社名は「セキュア(安全)」と「テキスタイル(織物)」を組み合わせたもの。風力産業をはじめ、製造や輸送の現場におけるリフティングやラッシングなどに役立つ各種のツールを提供している。

欧州のノウハウがつまった
巨大風車専用の保護パット

secutex製保護パットのポイントは大きく3つ。1つ目は強度だ。もともと海上輸送など過酷な現場のために開発されているため、1平方ミリメートルあたり50ニュートンの強度を誇る。2つ目が、輸送物を傷つけないこと。ウレタンなどの三層構造になっており、衝撃を吸収して傷を防ぐことができる。3つ目が、滑りにくさ。摩擦係数が高いほど滑りにくいが、secutex社では、耐久テストを通じて0.6ミュー以上という高い摩擦係数を担保している。モノパイル用に加えて、ブレードを挟み込む形状のブレード用保護パットもラインナップしているという。

「輸送物に適した保護パットやラッシングツールを使うメリットは、安全に輸送できることだけではありません。ラッシングの本数や作業工数を最適化できるため、輸送時のコストを抑えるのにも役立つのです。洋上風車を含む国内のラッシングに関して、欧州の実績をもとに今後もさまざまなノウハウを提供していきたい」と田村氏は意気込む。

強度と摩擦係数の高い
「secutexの保護パッド」


モノパイル運搬輸送用 保護パット「SecuPad HD」
海水に濡れても滑りにくさが変わることのない特殊な素材「secuGrip」を使った保護パット。一般的なポリウレタンと比べ、強度と耐加重、摩擦係数が圧倒的に高く、輸送物を傷つけず安全に運搬できる。

安全に固定できるRUD, SpanSet社製の
「ラッシングベルト&チェーン」


ラッシングベルト・チェーンは、重量物だけでなくデリケートな輸送物を固定するのに最適。傷つけることなく、安全かつ丁寧に輸送するのに役立つ。

CHECK!

欧州のラッシング理論はアプリで身につける!
ラッシングのプロがスマートフォン向けにアプリを開発! 欧州のラッシングに関するノウハウの粋が詰め込まれている。質量や輸送方法などを入力するだけで、ラッシングの方法や用具の選定をわかりやすくサポートしてくれる。「RUD ラッシング」で無料アプリを検索(iOS、Android対応)

問い合わせ

株式会社ルッドスパンセットジャパン
大阪市西区西本町2-5-28 コスモ西本町ビル901
TEL:06-6536-8807

※株式会社ルッドリフティングジャパンは、2023年1月より「株式会社ルッドスパンセットジャパン」に社名を変更しました。


文:山下幸恵(office SOTO)

WIND JOURNAL vol.4(2023年春号)より転載

アクセスランキング

  1. 第7次エネルギー基本計画、年内に骨子案を固める 脱炭素電源の構成比率が焦点に...
  2. 環境省の浮体式促進事業 輪島市沖と北九州市沖の提案を採択
  3. 北海道の地域振興をテーマにスペシャル対談 「電気運搬船でエネルギー変革を」...
  4. 北海道寿都町 再生可能エネルギーを活用した循環型地域社会づくり
  5. 【特集】洋上風力「第3ラウンド」の動向まとめ 青森、山形の2海域を徹底分析!...
  6. 秋田県 秋田、能代港湾区域の洋上風力発電所で撮影した水中動画を貸し出し...
  7. 北海道檜山沖、11月8日に第3回法定協議会 意見集約のたたき台について議論...
  8. 【 参加無料 】12/12 WINDビジネスフォーラム ~ラウンド最新動向とサプライチェーン構築~...
  9. 【第2ラウンド深堀り解説①】第2ラウンド4海域 それぞれ別々の企業連合が選定事業者に...
  10. 【洋上風力第3ラウンド】事業者公募がきょうで終了 少数激戦へ

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.07 | ¥0
2024/9/11発行

お詫びと訂正