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政策・制度

洋上風力発電、EEZ内設置に向け改正法案を閣議決定 2段階方式を採用

政府は3月12日、日本の排他的経済水域(EEZ)内に洋上風力発電設備の設置を可能にする法律の改正案を閣議決定した。英国の仕組みを参考に、2段階方式で設置許可を行う。

昨年12月の合同会議で
最終案が示される

日本の領海等概念図(出典 海上保安庁海洋情報部)

日本周辺は、世界で主流の着床式に向いた浅い海が少ないが、現行法では、発電施設を設置できる場所が領海などに限られている。このため政府は、浮体式洋上風力発電設備の設置場所を排他的経済水域(EEZ)内に広げるための法整備を検討していた。昨年12月25日に開催された政府の総合資源エネルギー調査会「交通政策審議会港湾分科会環境部会洋上風力促進小委員会」合同会議では、洋上風力のEEZ展開へ向けた論点と対応の最終案が示された。

国が主体となって
実施可能区域の設定を

領海・排他的経済水域等模式図(出典 海上保安庁海洋情報部)

現行法に基づく領海内においては、都道府県からの情報提供を起点に、都道府県や国が主体となって案件形成を進めてきたが、最終案では、EEZは都道府県の管轄外であり、都道府県の関与がなくなるため、国が主体となって区域の設定・指定を行っていくことが必要だとしている。

そのうえで、世界第6位の面積を誇る日本のEEZにおいて、大規模かつ多量に案件形成をしていくためには、国が洋上風力発電事業を実施可能な区域を指定する際、気象、海象などの自然的条件などが優れていることや、海洋環境の保全に支障を及ぼすおそれが少ないことを条件に、区域内の漁業者などをはじめとした利害関係者からの意見を広く聴取するための公告縦覧に加えて、防衛レーダー、主要航路、海洋環境、漁業などについて、あらかじめ考慮するための関係省庁による協議を実施して発電事業の実施可能区域を設定する案が示された。

英国の仕組みを参考に
2段階方式で設置許可

英国では、発電事業者を決定するための1段階目の海域リース入札のあと、発電事業者が漁業者等の利害関係者との協議を実施し、調整が整った場合には、2段階目である国からの支援を受け建設工事が可能とする仕組みを導入している。

こうした英国の仕組みを参考にして、事業者は、国が指定した広域の実施可能区域内において、発電事業を実施する海域を自由に設定し、当該海域に関する区域図案や発電設備の設置計画案を添えて国に申請する。その際、事業者間で区域の重複が生じた場合には、国は、長期的、安定的かつ効率的な実施の観点から、最も適切な者に対して仮の許可を付与する。このあと事業者は、漁業者などの利害関係者との調整を行う。また、事業者はこれと並行して、当該海域に係る詳細調査を実施する。利害関係者との調整が整ったあと、事業者は、調整後の設置計画と区域図を国に申請する。国はその内容を審査し、基準を満たす者に対し、発電設備の設置許可を行うとしている。ただし、仮の許可を受けてから、許可を受けるまでの期間について、案件の停滞を防ぐ観点から有効期間を設定する。

発電事業者の選定基準は
領海内と同程度に

EEZ

EEZ内に洋上風力発電設備の設置を可能にする法律の改正案を国会提出へ

発電事業者の選定基準については、領海および内水における選定基準や事業計画に求められる事項と同程度とすべきとしている。領海とは異なり、国有財産法が適用されないEEZにおいて、事業者に対してどのような権利付与を行うのかについては、国による許可を受けた事業者のみが発電設備を設置して長期間利用できる仕組みとする案が示された。具体的には、国が広域の候補海域を指定したうえで、同海域内で事業者から発電事業を実施する区域を自由に設定させ申請させる方式とする。そのうえで、事業者からの申請に基づき国が事業計画などを審査し、一定の要件に合致する場合には禁止を個別に解除し、洋上風力発電設備の設置を許可するとしている。政府は、法律の改正案を開会中の通常国会に提出し、成立を目指す。

DATA

「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました


取材・文/高橋健一

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