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【洋上風力第4ラウンド】東京都伊豆諸島沖の5海域を準備区域に、大規模浮体式の導入を目指す

経済産業省と国土交通省は6月26日、再エネ海域利用法に基づいて「東京都大島町沖」、「東京都新島村沖」、「東京都神津島村沖」、「東京都三宅村沖」、「東京都八丈町沖」の5区域について、新たに「準備区域」として整理したと発表した。

アイキャッチ画像 新たに準備区域に整理された東京都大島町沖

<目次>
1. 100万kW規模の浮体式洋上風力導入を目指す
2. 新島村沖、神津島村沖がセントラル方式の調査対象区域に

 

伊豆諸島沖で
大規模浮体式導入を目指す

促進区域

促進区域指定・事業者公募のプロセスの流れ(出典 経済産業省)

準備区域に整理された5区域は、昨年11月11日から12月6日にかけて都道府県から提出のあった情報提供書をもとに有識者による第三者委員会の意見を踏まえて選定した。東京都の小池知事は昨年11月、アゼルバイジャンで開催された国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)のイベントで、伊豆諸島沖に100万kW規模の浮体式洋上風力発電設備の導入を目指す考えを明らかにしている。

東京都が2023年に設置した専門家会議「東京都再エネ実装専門家ボード」では、秒速9メートル超の風がある伊豆諸島の海域は「洋上風力のポテンシャルがある」との評価を受けていた。都は、23年5月に策定した「東京都離島振興計画」に、伊豆大島で洋上風力発電設備の導入による再エネを活用したまちづくりを進める計画を盛り込んだ。東京都離島振興計画は、離島振興法に基づき、伊豆諸島地域の振興の方向性を示すもの。計画期間は2023〜32年度の10年間で、伊豆諸島の2町6村が対象となる。

東京都が伊豆諸島沖に導入を目指している出力100万kW規模の浮体式洋上風力発電設備は一般家庭90万世帯分の年間消費電力量を賄える計算で、完成時期は未定という。今後は、自然環境や生態系などを調査し、伊豆諸島の2町6村や漁業関係者と意見交換しながら、具体化に向けての検討を進めていく考えだ。

新島村沖、神津島村沖が
セントラル方式の調査対象区域に

東京都新島村沖

東京都新島村沖

経産省と国交省はこれと合わせて、洋上風力発電のセントラル方式による調査対象区域について、「東京都新島村沖(浮体)」、「東京都神津島村沖(浮体)」の3区域を選定した。洋上風力発電の今後の案件形成の加速化に向けて、国は案件形成の初期段階から政府や自治体が関与し、より迅速・効率的な調査等を行う「セントラル方式」を確立するとともに、この一環として、23年度から、JOGMECが、洋上風力発電の基本設計に必要なサイト調査(風況・海底地盤・気象海象)を実施している。

JOGMECによる調査の対象となる区域は、都道府県が、対象区域における調査活動の実施により操業上の調整が生じる企業や団体(漁業・航路など)との調整に着手しており、JOGMECが調整を行う際にも、都道府県として地元関係者などとの調整に主体的に関与している区域としている。

昨年11月11日から12月6日までに国に対して5区域から提案があり、有識者による第三者委員会の意見を踏まえ、東京都新島村沖(浮体)、東京都神津島村沖(浮体)の2区域を新たに調査対象区域として選定した。なお、国はこの調査の実施は再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定につながるものではなく、促進区域の指定などについては、別途、再エネ海域利用法に基づく手続きに従って対応するとしている。

促進区域、有望区域などの指定・整理状況(2025年6月26日現在)
(1)促進区域
長崎県五島市沖(浮体)、秋田県能代市・三種町・男鹿市沖、秋田県由利本荘市沖、千葉県銚子沖、秋田県八峰町能代市沖、秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖、新潟県村上市・胎内市沖、長崎県西海市江島沖、青森県沖日本海(南側)、山形県遊佐町沖
(2)有望な区域
北海道石狩市沖、北海道岩宇・南後志地区沖、北海道島牧沖、北海道檜山沖、北海道松前沖、青森県沖日本海(北側)、山形県酒田市沖、千葉県九十九里沖、千葉県いすみ市沖
(3)準備区域
北海道岩宇・南後志地区沖(浮体)、北海道島牧沖(浮体)、青森県陸奥湾、岩手県久慈市沖(浮体)、秋田県秋田市沖、東京都大島町沖(浮体)、東京都新島村沖(浮体)、東京都神津島村沖(浮体)、東京都三宅村沖(浮体)、東京都八丈町沖(浮体)、富山県東部沖(浮体)、福井県あわら市沖、和歌山県沖(東側)、和歌山県沖(西側・浮体)、福岡県響灘沖、佐賀県唐津市沖

DATA

再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定に向けた準備区域の整理及びセントラル方式による調査対象区域について


取材・文/高橋健一

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