北海道石狩市沖で第1回法定協議会 6つの漁協が精細な調査の実施と情報共有を要望
2026/03/19
洋上風力「北海道石狩市沖」の第1回法定協議会が2月6日に開催された。関係する6つの漁業協同組合が共同で意見書を提出し、マダラ、スケソウダラ、ホッケなどの産卵場所や生態系への影響などについて、精細な調査の実施と情報共有を要望した。
想定出力は国内最大
漁業への配慮・地域振興を要望

北海道石狩市沖の風況(出典 経済産業省)
北海道石狩市沖の法定協議会は石狩市、小樽市、積丹町、古平町、余市町、増毛町の6市町と北海道庁、関連する6つの漁業協同組合、海底通信ケーブルを運営するNTTリミテッド・ジャパン、学識経験者などで構成されている。石狩市沖は2023年5月に有望区域に整理された。想定出力は114万kWと国内最大の規模だが、関係者との調整に時間がかかり、これまで足踏み状態が続いていた。
2月6日の第1回法定協議会で石狩市の加藤龍幸市長は、「洋上風力発電の導入が、地域経済の発展や雇用創出につながることを期待している。漁業振興や地域振興にもつながるよう協議していきたい」と述べた。そのうえで、経済波及効果や学習機会の提供、災害発生時の優先的な電力供給を検討するとともに、石狩湾新港を洋上風力の拠点港として活用することなどを要望した。
また6つの漁業組合は共同で、「石狩沖洋上風力発電の推進に対する基本的な考え方」という意見書を提出した。そのなかでは「同海域は、多様な水産資源に恵まれ、道内の水産業を支える重要な地域の一つである。洋上風力発電の導入と漁業を両立しつつ、地域振興と漁業振興の取り組みを進めていくことは意義が大きい」とする一方、「漁業に影響を及ぼす可能性もあり、専門家の意見も踏まえたうえで調査を行いつつ、その結果を共有し漁業関係者の安心と理解促進につなげることが重要だ」として精細な調査の実施と情報共有を求めた。
そして主な調査内容については、同地域における水産資源や漁業操業への影響のほか、マダラ、スケソウダラ、ホッケなどの産卵場所や生態系への影響、海中の騒音・振動による水産物への影響、海流や砂の移動、電磁波の影響などを明らかにすることを要望した。さらに発電設備の設置に伴い漁業への影響が出た場合に、事業者が速やかに対応することに加え、建設的な漁業振興策の検討をすることを求めた。
石狩湾漁業協同組合の丹野雅彦組合長は「石狩市沖の洋上風力発電事業が実現すれば、次の世代に引き継がれるものとなる。漁業関係者が議論の内容に納得し、次の世代がありがたみを感じられるものになるよう、十分な議論を進めていきたい」と述べた。
一方、北海道庁は「洋上風力発電に関する北海道の考え」という意見書を提出した。そのなかでは、「事業者には地元市町村や漁業関係者、北海道と丁寧なコミュニケーションを図りながら、地域や漁業の将来像の実現に向け共存共栄に取り組むことを期待する」と要望した。そのうえで、道庁への情報提供や事前相談、景観および自然環境への配慮、地域のまちづくりへの積極的な関与、産業振興への貢献、災害対応などを求めた。
石狩市沖
10事業体が計画公表

北海道石狩市沖の事業計画
石狩市沖では、これまでに10の事業体が計画を公表し、環境影響評価手続きを進めている。100万kWを超える大規模な事業計画がひしめき合う異例の事態になっている。今後は6つの漁業協同組合をはじめとする利害関係者の理解を得ながら、事業採算性の高いプロジェクトをどのように構築していくのかが大きな課題になりそうだ。
北海道松前沖、檜山沖
事業者公募を前に足踏み状態

同じく北海道西方沖の松前沖と檜山沖は、いずれも昨年7月に促進区域に指定されたが、その後は足踏み状態が続いている。このうち、松前沖は松前町の沖合で、想定出力は32万kW。投資規模は約3000億円と見込まれている。このうち初期建設費は1900億円、運営・維持管理(O&M)が1100億円。雇用創出効果は建設および運転期間を通して650人と推計されている。

北海道松前沖の事業計画
松前沖の法定協議会では、特産であるヤリイカの産卵期が2月~5月であることから、基本的にこの時期は工事を休止すること、主要な魚種であるマグロの漁期にあたる7月~翌年1月は、建設工事による振動や騒音による影響を低減する取り組みを実施すること、工事の振動や騒音を軽減するためダブルビッグバブルカーテン(DBBC)」などの実施を選定事業者に求めることを申し合わせている。松前沖では、関西電力が最大36万kWの事業計画を公表し、環境影響評価手続きを進めている。
北海道檜山沖
6事業体が計画公表

北海道檜山沖の事業計画
檜山沖はせたな町、八雲町、江差町、上ノ国町の4町の沖合の海域だ。出力規模の想定は約91~114万kWと、国内で計画されている洋上風力発電事業のなかでは石狩市沖と並んで最大規模となっている。総事業費は約1兆3000万円と推計されている。
檜山沖の法定協議会では、選定事業者が地方創生にも資する発電事業の早期かつ確実な実現に努めること、発電事業の実施について協議会の構成員となっている漁業者の了解を得ること、漁業影響調査に関する実務者会議を設置し議論を経て、具体的な調査内容を設計し、決定することなどを申し合わせている。檜山沖では、これまでに6つの事業者が計画を公表しており、激しい主導権争いが繰り広げられそうだ。
北海道松前沖と檜山沖は今後、公募占用指針を策定したうえで、事業者の公募が開始される見通しだが、公募の時期が明らかになっておらず、地元関係者からは不安の声も聞かれる。北海道西方沖の石狩市沖、松前沖、檜山沖の3海域がいずれも事業化されると、合わせて226万kWの発電出力が形成され、国内最大の洋上風力発電エリアとなることが期待されている。
DATA
取材・文/宗 敦司










