注目キーワード

English 日本語

国内事例

ボーリング調査の需要増、洋上風車向け、水深50mが強み、独自工法の中央開発

水深約50mの海底での地盤調査を可能にした「傾動自在型試錐工法」を独自開発し、洋上風力発電プロジェクトの海底地盤調査を手掛けているのが、創業75周年を誇る中央開発。和賀憲洋氏に同社の強みなどについて聞いた。


――主力事業と強みは。
弊社は1946年の創業以来75年にわたり、地盤調査を主力として発展してきました。創業初期には標準貫入試験(SPT)、ウェルポイント工法、シンウォールサンプラーを日本で初めて実用化するなど、国内の地盤調査の技術開発に貢献してきました。

その中で、海域における調査技術の開発にも積極的に取り組み、水深50mでのボーリング工法として「傾動自在型試錐工法」を1965年に開発しました。

「傾動自在型試錐工法」は、海域で一般的に使用されているスパット台船や鋼製櫓(適用水深35m程度)よりも水深の深い50mまで地盤調査ができますので、その点が強みです。

また、海域の地盤調査は陸域の調査と異なり、気象や海象条件の影響が大きいため、安全性や作業効率性が課題となります。「傾動自在型試錐工法」は、荒天時に独立式ガイドパイプを存置したまま退避できますので、安全性を確保しつつ、作業効率の低下につながる再掘削のタイムロスを防止できるメリットがあります。

――調査地域は。
日本国内全域で対応しています。

――洋上風力プロジェクトへの初参入の時期は。
2016年ごろです。

――洋上風力向けの調査依頼が増えていると。
はい、今はそうですね。

――洋上風力プロジェクトでの海底地盤調査の重要性は。
日本列島沿岸部の地盤は数万年前からの海面変動や浸食などによって形成されたと考えられており、現在の海底面から深さ100m程度までは複雑な地層構成が多く存在するものとされています。

海上に巨大な風車を建設する洋上風力発電プロジェクトでは、地盤や基礎に関するリスクを適切に評価して、事業に反映させていく必要がありますので、既存データが少ない海底の地質構造や工学的性質を把握するための地盤調査は重要な位置付けとなります。

プロジェクトを進める過程では、さまざまな問題が発生することがありますが、弊社は創業75周年と長い歴史を持つ会社です。これまでに積み上げたノウハウもあり、経験豊富な専門のスタッフがたくさんいますので、地盤調査の計画段階から現場の対応、室内試験、総合解析等の各段階において、さまざまな問題を解決いたします。

また、弊社は川崎地質と、地盤調査のエキスパートとしてビジネスパートナーシップを提携しています。両社の持つ特化技術を駆使し、洋上風力発電の施設建設に必要な地盤調査について、より良い調査方法を提案させていただきます。

話を聞いた人

中央開発株式会社
東京支社次長兼営業部長
和賀憲洋氏


文:山村敬一

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.09 | ¥0
2025/9/17発行

お詫びと訂正

広告お問い合わせ

アクセスランキング

  1. 台湾から見た日本の洋上風力発電とは、着床式洋上風力発電が進む最前線リポート
  2. 青森県の再エネ共生条例、総務相が同意して10月7日に施行 共生区域への誘導もスタート
  3. 【WIND EXPOリポート③】過酷な現場でも安心して使用できるタブレット・PC
  4. 【洋上風力第3ラウンド】青森県日本海南側 第5回法定協議会を28日に開催
  5. スコットランド気候対策・エネルギー大臣に聞く 日本の浮体式技術開発への貢献に意欲
  6. 長崎県五島市沖の浮体式洋上風車 来年1月稼働へ建設大詰め、大型量産化に対応した技術開発も
  7. ファイバーマックス、合成繊維製浮体係留索の国内製造に向け 秋田県、秋田市と覚書を締結 大水深を視野に製品開発
  8. 【洋上風力第2ラウンド】秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖 3年後の運転開始に向け陸上工事が本格化
  9. 【洋上風力第4ラウンド】秋田市沖と福岡県響灘沖を有望区域に、新たに3海域をセントラル方式の調査対象区域に
  10. 【検証】三菱商事、社長会見の一問一答 洋上風力第1ラウンド撤退の背景は?

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.09 | ¥0
2025/9/17発行

お詫びと訂正