注目キーワード

English 日本語

業界トピック

風力発電専門のトレーニング施設、福島県に開校。風車のO&Mをワンストップで

風力発電事業の育成と同時に、メンテナンスなどを行う専門の技術者のニーズも高まることが予想される。福島県で、こうした技術者に向けた専門のトレーニング施設「FOMアカデミー」が開校した。

福島県に技術者育成施設が開校
風力発電のO&Mをワンストップで

風車メンテナーの専門トレーニング施設である「FOMアカデミー」が6月17日、福島県で開校した。FOMアカデミーとは、風力発電設備をメンテナンスする技術者を育成するためのトレーニング施設だ。

同施設を運営するのは、一般社団法人ふくしま風力O&Mアソシエーション。福島市に本社を置く誠電社の代表取締役である渡辺誠氏が理事となり、設立した。多岐にわたる風力発電設備のメンテナンスを、ワンストップで行うサービスの構築を目指している。

このほど開校した「FOMアカデミー」は、福島市で廃校になった旧茂庭小学校跡地を利活用したもの。風車の模擬訓練設備であるブレードリペアゴンドラや、陸上風車などのオイル交換を行うための風車増速機ギヤオイルポンプ車も配備する。

開校式では、こうした実機の展示のほか、非営利組織GWOの定める国際規格に基づいた基礎安全訓練(BST、Basic Safety Training)の中から「高所作業、マニュアルハンドリング、初期応急処置、火災予防と消火」のデモンストレーションが実施された。

国際的なGWO認証の取得目指す
急がれる専門の技術者の育成

風力発電設備のメンテナンスに関しては、国際機関であるGWO(Global Wind Organization)が、国際標準に基づき訓練機関の認証を行っている。GWOとは、GE、ベスタス、シーメンスといった風力発電設備の大手メーカーなどが、2012年に設立した非営利機関だ。

GWOによって認証された国内の訓練機関は現在、青森県と福岡県の2ヶ所のみ。FOMアカデミーは国内で3ヶ所目の訓練機関になることを目指し、GWO認証の取得を急いでいる。

GWOの定める国際標準には、BSTと呼ばれる基礎安全訓練のほかに、上級救助訓練、ブレード修繕訓練などがある。一度、GWOによる認証を受けた訓練機関も、2年ごとに更新審査を受けることが定められている。

国内では、風力発電事業がまさに黎明期を迎えている。風力発電設備のO&Mなどに携わる専門人材の育成は、風力発電事業の土台となるものであり、FOMアカデミーをはじめとする訓練機関のますますの充実が大いに期待される。

DATA

一般社団法人ふくしま風力O&Mアソシエーション


文:山下幸恵(office SOTO)

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.09 | ¥0
2025/9/17発行

お詫びと訂正

広告お問い合わせ

アクセスランキング

  1. 【洋上風力の事業環境整備】事業実現性の適切な評価とサプライチェーン形成の定義の明確化を要望
  2. 【洋上風力第1ラウンド】3海域の再公募手続きが動き出す、情報提供の申請受け付け開始
  3. 【洋上風力第1ラウンド】年明け以降に再公募を実施へ 応札価格に下限と上限を設定
  4. 長崎県五島市沖の浮体式洋上風車 来年1月稼働へ建設大詰め、大型量産化に対応した技術開発も
  5. 全国洋上風力市町村連絡協の斉藤滋宣会長 次期能代市長選に立候補せず
  6. 【参加受付中!】第5回WINDビジネスフォーラム 「風力発電の安全対策とサプライチェーン構築」
  7. 【洋上風力】事業環境整備の見直し案を公表 第2・第3ラウンド事業者に長期脱炭素電源オークションへの参加容認
  8. 【洋上風力第2ラウンド】秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖 3年後の運転開始に向け陸上工事が本格化
  9. 【特集】洋上風力「第4ラウンド」の動向まとめ 異例の展開のラウンド事業の行方は?
  10. 秋田市 ブレード落下事故を受けて独自の安全確保策を検討

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.09 | ¥0
2025/9/17発行

お詫びと訂正