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SBエナジーと東北電力、福井県の陸上風力37.8MWの共同調査を開始

SBエナジーと東北電力は、共同で福井県の陸上風力発電所の開発可能性調査を実施すると発表した。福井市の国見岳山麓における最大出力37.8MWの大規模な風力発電事業だ。洋上だけでなく、陸上における風力発電の開発も活発化している。

福井県国見岳山麓に37.8MW
2024年の着工目指し出張所も開設

SBエナジーは8月5日、2024年の着工を目指している「福井国見岳における風力発電事業(仮称)」(福井県福井市)に東北電力が参画し、共同で開発可能性調査を実施すると発表した。

同事業では、国見岳山麓に、1基あたりの出力4,200kW級の風力発電機を最大9基設置する予定だ。全体の出力は最大37.8MWにのぼる見通しで、年間の予想発電量は約10万4,784MWh。これを一般家庭に置き換えると約2万9,106世帯分の年間使用電力量に相当するという。2024年9月の着工、2027年5月の運転開始を予定している。

今回の発表に先駆け、SBエナジーは7月19日、福井市内に同社の福井出張所を設置した。今後は同出張所を拠点として、東北電力とともに地域住民の理解を得ながら、両社の知見を活用して事業を推進するとしている。

なお、福井県内では、以前から大型の陸上風力発電事業が運用されている。Jパワーの子会社であるジェイウインドは「あわら北潟風力発電所」20MWを2011年から運転中だ。また、北陸電力の100%子会社である日本海発電は2017年から、総出力8MWの「三国風力発電所」を運営している。

陸上風力発電の開発も着々と
電力エリア超えて開発が活発化か

SBエナジーのWEBサイトによると、同社は現在2ヶ所の陸上風力発電所を運転している。同社初の風力発電所「ウインドファーム浜田」(島根県浜田市)は、2016年6月に運転開始された。同ウインドファームには、1基あたりの出力1,670kWの風力発電機が29基設置され、合計出力は約48MWだ。このほかに、出力規模が約7.5MWの「ソフトバンク秋田琴丘ウインドファーム」(秋田県山本郡)を2019年9月から運転している。

一方で、東北電力はカーボンニュートラルの達成に向け、200万kWの再生可能エネルギーを開発することを目指している。これまでに事業化された再生可能エネルギーの発電規模は約280万kW、開発中のものが約65万kWだという。

同社が、これからの再エネ開発の主軸に据えているのが風力発電だ。そのため、風力発電事業の開発に力を注いでおり、同社WEBサイトによると2022年6月現在、陸上風力プロジェクト15件、洋上風力プロジェクト4件に携わっている。

これらは、いずれも東北電力エリアにおけるプロジェクトだ。しかし、今回、SBエナジーと共同で開発可能性調査を実施する「福井国見岳における風力発電事業(仮称)」は北陸電力エリアにあたる。東北電力は今後、東北電力エリア外でも風力発電事業を積極的に拡大する考えだとみて間違いないだろう。

DATA

SBエナジー株式会社 プレスリリース
東北電力株式会社 プレスリリース


文:山下幸恵(office SOTO)

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