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富山県入善町沖 大型SEP船が現地入り

富山県入善町沖の洋上風力発電事業で、清水建設の大型SEP船「BLUE WIND」が3月23日、建設拠点となる石川県の七尾港に入港した。4月上旬から洋上の基礎工事を開始する予定。清水建設が約500億円をかけて建造した大型SEP船が、いよいよ本格稼働する。

JFEエンジニアリングと
北陸電力が出資参画

完成イメージ図
完成イメージ図(出典 ウェンティ・ジャパン)

計画では、富山県北東部の入善町沖の水深約10メートルの海底に3000キロワット級の風車を3基設置する。最大出力は約7500キロワットで、一般家庭3600世帯分の電力使用量に相当する。総事業費は約61億円。民間企業が100%出資して港湾などを除く一般海域に洋上風力発電所を設置するのは国内初となる。再エネ海域利用法に基づく一般海域の利用ルールを適用せずに、富山県の条例に基づき海底の使用許可を取得し、3年ごとに占有許可を更新する形になる。

当初は2020年に着工して2021年3月に稼働する計画だったが、事業主体の変更や設計見直しなどの影響で着工が遅れていた。その後、ウェンティ・ジャパン(秋田市)の単独の事業として計画を見直し、新たな施工業者として清水建設とEPC契約(設計、調達、施工)を締結した。ウェンティ・ジャパンは、2012年に羽後設備(秋田市)、市民風力発電(札幌市)、北都銀行(秋田市)をはじめとするフィデアグループなどが企画・設立した再エネ事業会社。富山県入善町沖の事業主体となる「入善マリンウィンド合同会社」には3月13日、JFEエンジニアリングと北陸電力が出資参画すると発表した。出資比率は非公表。

クレーンの
吊り上げ能力は2500トン


大型SEP船「BLUE WIND」(出典 清水建設)

入善町沖では、2022年10月から管理棟や送電設備工事などの陸上工事が進められていた。洋上風車を施工する清水建設の大型SEP船「BLUE WIND」は、3月18日に広島県呉市を出港し、3月23日午前8時30分に建設拠点となる石川県の七尾港に入港した。同船は全長142メートルで、タグボートなどが不要な自航式。全幅50メートル、総トン数が2万8000トンで、クレーンの最大揚重能力(吊り上げ能力)は2500トン、最高揚重高さは158メートル。8000キロワット級の風車なら7基、1万2000キロワット級なら3基分の全部材を一度に搭載できる。

大型SEP船「BLUE WIND」は作業能力も高く、予備日をみても8000キロワット級の場合は7基を10日、1万2000キロワット級の場合は3基を5日で据え付けられる。船体のジャッキアップ・ダウンが可能で、既存のSEP船に比べ5割程度高い稼働率を発揮できるように設計された。

大型SEP船
4月上旬から本格稼働


基礎部材を載せた運搬船(出典 南通润邦海洋工程装备有限公司)

富山県入善町沖では、基礎工事でモノパイル式を採用する。モノパイル3本をはじめとする基礎部材は、中国の南通润邦海洋工程装备有限公司が製造し、すでに七尾港に到着している。風車は中国のタービンメーカー「明陽智能(ミンヤン)」が製造する「MySE3.0-135」を採用する。

清水建設の大型SEP船「BLUE WIND」は、モノパイルを打設する基礎工事を4月上旬に開始する予定。洋上風車の設置工事には5月上旬に取りかかり、8月の竣工、9月1日の運転開始を目指す。その後、大型SEP船「BLUE WIND」は北海道へ向かい、「石狩湾新港洋上風力発電事業」の施工に向けて6月中に室蘭港で艤装を整え、7月から始まる海上工事に備える。同事業では、完成時点で国内最大となる8000キロワットの大型風車14基を設置する。最大出力は11万2000キロワットで運転開始は2023年12月の予定。

清水建設は1804年、越中富山の大工だった初代清水喜助が江戸・神田鍛冶町で開業した。初代喜助が目指したのは「誠心誠意、心を込めて仕事に取り組み、良いものをつくって信頼されること」。今年2月の記者会見で、清水建設の関口猛専務執行役員は「創業者のふるさとで、社運をかけた船の第1号の工事をすることに大きな縁を感じる」と感慨深げに語った。


取材・文/高橋健一

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