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浮体式洋上風力のトップ企業が集う【浮体式洋上風力発電推進懇談会】

日揮や戸田建設など6社による浮体式洋上風力発電推進懇談会は3月、第2回浮体式洋上風力発電カンファレンスを都内で開催した。国内や海外の専門家が集い、EEZでの操業や漁業との共生などについて議論した。

浮体式洋上風力市場の発展に向け
コスト競争力強化のステージに

浮体式洋上風力発電推進懇談会とは、日揮、戸田建設、住友商事グローバルメタルズ、シェル、エクイノール・ジャパン、Ocean Winds(スペイン)の6社が、日本における浮体式洋上風力発電の推進を目的として2020年に発足したグループだ。浮体式洋上⾵⼒発電に関する各社の知見を集積し、国内の開発にあたっての課題や解決策、仮説を考案し、提言を行っている。

2021年9月には「日本の浮体式洋上風力発電に対する期待と展望」と題したビジョンステートメントを通じて、国内の浮体式洋上風力発電市場の発展に向けて提言した。提言のキーメッセージは以下の通りだ。


(浮体式市場の発展に向けた提言。出典:浮体式洋上風力発電推進懇談会『日本の浮体式洋上風力発電に対する期待と展望』)

また、浮体式洋上風力発電の技術はすでに確立されており、現在はコスト低減に向けた最適化を進めるべき段階にあるとも指摘している。浮体式構造物や係留方式など、浮体式風力発電に用いられる技術は、50年以上の歴史をもつ洋上石油・ガス産業から多く転用されている。技術基盤はできあがっているため、今後は技術の最適化や大型化を図り、コスト競争力をつけるべきだということだ。
 

(出典:シェル)

最新の政策動向を専門家が詳説
官民連携で浮体式の発展を目指す

同懇談会が3月に開催した第2回浮体式洋上風力発電カンファレンスでは、浮体式洋上風力発電に関する日本や海外の政策動向や最新の動きなどについて、国内外の専門家が詳述した。集まった約300名の参加者が熱心に聞き入る様子からは、浮体式洋上風力発電への関心の高まりが感じられた。

カンファレンスでは、排他的経済水域(EEZ)における浮体式洋上風力発電や、漁業との共生などのテーマを中心に議論が交わされた。国内の浮体式洋上風力発電は今後、一般海域における操業が中心となる。しかし、中長期的にはEEZでの操業も求められていくことから、EEZの開発に関する法整備などを検討・実行する必要性が増しているとされた。

また、沿岸ではなく沖合における漁業の特徴を踏まえた対応が必要だとの指摘も挙がった。ほかにも、浮体式洋上風力発電事業が持続可能であるには、欧米のように大規模化し、経済メリットを生み出して投資を呼び込むことが重要だとされた。

同懇談会はこれを受け、官民が連携して国内産業の成長につながる戦略的な開発計画を立案することが不可欠であり、関係する業界や政府とともに取り組みを強化していきたいとしている。
 

(出典:Ocean Winds)

 
浮体式洋上風力発電推進懇談会のメンバー(五十音順)
 

Equinor Japan GK (エクイノール・ジャパン合同会社)


ノルウェーに本拠を置く洋上風力発電事業の世界大手エクイノール。石油・ガス開発のプラットフォームにおいて蓄積した半世紀にわたる実績や経験をもとに、浮体式には2009年に参入。現在はHywind Tampen(ノルウェー)をはじめとする欧米を中心に、大規模な浮体式プロジェクト開発を進めている。

日本の浮体式洋上風力発電事業においては、国内のサプライチェーンの充実を図り、盤石な体制の構築を目指す。技術面はもとより、開発や資金調達、O&Mなどすべての工程において海外で培った知見やノウハウを最大限に活かし、地域との共生を前提とした安全かつ安定的な電力供給に貢献する。
Equinor Japan GK (エクイノール・ジャパン合同会社)
 

Ocean Winds(OW)


Ocean Winds(スペイン)は、ポルトガルの大手電力グループEDP Renewablesとフランスの大手電力Engieとの戦略的提携によって設立された。グローバルに洋上風力発電事業を展開し、浮体式では英国、韓国、米国における商業規模のプロジェクトの独占開発権を有している。WindFloat Atlanticプロジェクト(ポルトガル)では、世界初のセミサブ型(波の影響を避けるため、所定の喫水まで潜水させた半潜水式の浮体)浮体式洋上風力発電所を稼働中だ。

浮体式洋上風力発電のパイオニアとしての知見を活かし、地域の雇用機会の創出や現地における強力なサプライチェーンの構築に力を入れ、国内の浮体式洋上風力発電市場をリードする。
Ocean Winds(OW)
 

シェル(Shell plc)


2050年までに炭素排出量を実質ゼロとするエネルギービジネスの構築を目指し、洋上風力発電をその重要な手段の一つと位置付ける。2000年に英国で初めて洋上風車を設置したコンソーシアムのメンバー。世界で9.8GW超の洋上風力発電を開発・稼働中で、約3分の1が浮体式だ。長年の洋上での油田・ガス田開発で培ってきたオフショアエンジニアリング技術を生かし、浮体式洋上風力発電の商業化を目指す。
洋上風力発電の全ライフサイクルに精通した人材を擁し、世界最高水準の健康・安全・セキュリティ・環境(HSSE)基準を設けている。技能開発や訓練、ステークホルダーとの共存などに関するベストプラクティスを提供し、国内の洋上風力発電事業の発展を促進する。
シェル(Shell plc)
 

住友商事グローバルメタルズ株式会社


総合商社としての強みと専門商社ならではの高い専門性を活かし、グローバルな視点で浮体式洋上風力発電のサプライチェーン形成などビジネス開発に取り組む。主要事業の鉄鋼製品取引で培った国内外の鉄鋼メーカーや鋼材加工業者とのネットワークは、浮体・係留システムの素材の供給や、加工業者の選定・協業におけるアドバンテージだ。浮体製造・建造場所の確保や輸送に関しても、親会社・住友商事のノウハウを応用したソリューションを提供できる。

海外の浮体式洋上風力発電市場にも積極的に参画することで、国内の浮体・係留関連部材の需要を喚起。日本経済を支えてきた国内の産業基盤を活用し、浮体式洋上風力発電の「産業化」「習熟化」を目指す。
住友商事グローバルメタルズ株式会社
 

戸田建設株式会社


2013年、長崎県五島市沖に世界初のハイブリッドスパー型(細長い円筒形のスパー型浮体の下部をコンクリート、上部を鋼で構成した浮体形式)浮体式洋上風車2MWを設置。コンクリートを併用して低コスト化を実現し、コンクリートを現地生産することによって地域の経済発展にも貢献した。岸壁ヤードでの浮体の製造方法や洋上での設置手法についても、経済性を向上する方法の開発にも取り組む。現在、新たに16.8MWの浮体式洋上風力発電の建設を進め、2024年の商用運転開始を目指している。

浮体式洋上風力発電は日本のエネルギー問題を解決する「鍵」として、関連する制度設計や産官学のパートナーシップの形成にも力を注ぎ、カーボンニュートラル社会の実現に貢献する。
戸田建設株式会社
 
 

日揮株式会社



調査から設計、調達、建設、運転・保守に至るまでのプロジェクトマネジメントにおいて、世界80ヶ国、2万件の大型建設プロジェクトを遂行した実績を有する日揮。巨大な浮体式洋上風力発電のプロジェクトにおいて、その実績と合理的なプロジェクト遂行のノウハウを生かす。

またグローバルな調達ネットワークを活かし、造船会社や係留工事会社を含むサプライチェーンとの円滑なパートナーリングにおいても強みを発揮し、浮体式洋上風力発電の実現を強力にサポートする。

日揮株式会社
 

(出典:日揮株式会社)


文:山下幸恵(office SOTO)

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経済産業省

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