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青森県の宮下知事 大規模開発を伴う陸上風力発電への課税を検討

青森県の宮下宗一郎知事は9月12日、大規模開発を伴う再エネ事業への課税を検討する考えを明らかにした。当面は陸上風力発電を対象とする方針。それと合わせて、再エネ設備の立地禁止エリアを設定できる条例の制定も検討する。

(アイキャッチ画像 青森県五所川原市)

再エネ推進と
自然との共生が選挙公約

洋上風力発電は当面は課税対象から除外する方針

洋上風力発電は当面は課税対象から除外する方針

今年6月に就任した宮下知事は、再エネ推進と自然との共生を県知事選挙の公約に掲げていた。宮下知事は12日の記者会見で、「自然環境と再生可能エネルギーとの共生構想」を発表し、「青森県の自然が搾取されていくような環境はなんとか防ぎたい。今回の構想を通じて、美しい雄大で青森県の自然を残して、一方で再エネも推進していけるように取り組んでいきたい」と述べた。

そのうえで、宮下知事は自然環境と再エネの共生を目指し、大規模開発を伴う再エネ事業を課税対象とする新税の創設を検討することを明らかにした。当面は陸上風力発電を対象とし、「法定外普通税」として徴収することを視野に検討する。税収は環境保護のほか、子育てや教育など幅広く活用する方針。年度内に導入の可否を判断する。森林開発を伴う再エネ事業をめぐっては、宮城県で今年7月、再エネ事業者から県が独自に税を徴収する全国初の条例が成立した。2024年4月の施行を目指し、総務相と協議している。

青森県の八甲田山系周辺で計画されている風力発電事業については、青森市や十和田市など6つの市や町が水源や景観への影響を懸念し、事業者に白紙撤回を求めている。このため、宮下知事は「現行の制度のもとでは、事業者は地域の理解が十分に得られていなくても事業に着手できる」と指摘したうえで、県内に設置する再エネ設備について立地を禁止するエリアを設定できる条例の制定を検討する考えを明らかにした。それに加えて、再エネ事業者に立地市町村との事前協議や首長の同意などを求める条例についても検討する。青森県は2024年度中の条例制定と施行を目指す。

東北電力支店長
「議論の動向を注視」

青森県の宮下知事が、大規模開発を伴う再エネ事業を課税対象とした新税の創設検討を明らかにしたことについて、東北電力青森支店の沼畑秀樹支店長は、「報道などで自然環境と再生エネルギーの共生構想は把握している。今後、県で詳細を検討されると認識している」と述べ、県の議論の動向を注視していく考えを示した。そのうえで、「当社はこれまでも風力発電に限らず、発電設備の立地にあたっては周辺の環境への影響について丁寧に説明し、地元住民に理解していただきながら取り組むことを重視している。今後も自然環境との共生を重視していきたい」と話した。


取材・文/高橋健一

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