洋上風力第3ラウンドの2海域 入札上限価格は18円に
2023/11/20
経済産業省は11月14日、調達価格等算定委員会を開催し、2024年度に実施する洋上風力第3ラウンドの公募占用指針案を示した。対象となる2海域の入札上限価格を18円/kWhとする案が公表され、委員会から了承された。
第1ラウンドは
上限価格を大幅に下回る
秋田県能代市、三種町、男鹿市沖
第1ラウンドでは、3区域の公募で入札上限価格を29円/kWhに設定した。落札価格は「秋田県能代市、三種町、男鹿市沖」が13.26円/kWh、「秋田県由利本荘市沖」が11.99円/kWh、「千葉県銚子市沖」が16.49円/kWhと上限価格を大幅に下回った。
第2ラウンドでは、対象となる4区域すべてにフィード・イン・プレミアム(FIP)を適用し、秋田県と新潟県沖の計3区域の上限価格を19円/kWh、長崎県沖の1区域は29円/kWhに設定した。長崎県西海市江島沖の上限価格を高くしたのは、地質構造上、海底に固定する基礎工法にジャケット式が採用される可能性が高く、建設コストが上がることを考慮したとしている。
2海域ともに
18円/kWhに設定
供給価格上限額についての委員長案(出典 経済産業省)
第3ラウンドでは、青森県日本海南側と山形県遊佐町沖の2海域で事業者の公募が行われる。14日の調達価格等算定委員会では、再エネ海域利用法に基づき、2024年度に実施する着床式洋上風力発電事業の入札に適用する公募占用指針案を示した。
公募占用指針案では、資本費や運転維持費、撤去費は内外価格差を考慮すべきであること、2海域ともに風況が良いため設備利用率が高まること、原材料価格の上昇などもみられることからIRR(内部収益率)は維持すべきとする考え方を示した。その一方で、陸上風力においてはコスト効率化が進んでいる実態もあり、国民負担の抑制を図りながら再エネの最大限の導入を進めていくため、物価変動リスクに対しても、リードタイムのなかでのコストダウンに向けた事業者の創意工夫を促していくことが重要だとして、対象となる2区域にFIPを適用し、入札上限価格を前回よりも1円低い18円/kWhに設定する案が公表された。
調達価格等算定委員会のメンバーからは異論が出されず、入札上限価格の案が了承された。経済産業省と国土交通省は今後、関係する都道府県知事や学識経験者、パブリックコメントの結果を踏まえて公募占用指針を決定し、事業者の公募を開始する予定。
DATA
取材・文/高橋健一