北海道檜山沖の法定協初会合「境界についての諸問題の議論を」
2023/12/22
北海道檜山沖の法定協議会初会合が12月18日、江差町で開かれた。沿岸の町長からは、法定協で設置海域の境界や固定資産税に関する議論を求める意見が出された。
檜山沖
4事業体が計画公表
北海道檜山沖の水深(出典 経済産業省)
檜山沖の法定協議会は、経産省や国交省、北海道のほか、沿岸のせたな町、八雲町、江差町、上ノ国町、ひやま漁業協同組合などで構成される。18日の初会合では、座長に足利大学名誉教授の牛山泉氏、副座長に北海道科学大学名誉教授の白石悟氏を選任した。続いて、事務局が再エネ海域利用法の概要や促進区域の指定基準、ほかの区域の法定協の進捗などについて説明した。
経産省によると、檜山沖の事業想定エリアは乙部町を除くせたな町から上ノ国町までの沿岸部で、出力規模は約91~114万kW。檜山沖では、これまでに電源開発が72万2000kW、東京電力リニューアブルパワーが135万kW、コスモエコパワーが100万kW、11月17日には北海道洋上風力開発合同会社が150万kWの事業計画を公表し、環境アセスメントや海底地盤調査などを進めている。
境界や固定資産税の
諸問題の議論を
北海道檜山沖の風況(出典 経済産業省)
会議では、檜山管内洋上風力事業推進協議会の会長を務める上ノ国町の工藤昇町長が「関係機関が一体となって洋上風力発電事業を促進したい。発電事業者には漁業振興策に重点を置いた取り組みや、企業版ふるさと納税による地域支援、電力の地産地消を進める取り組みなどを要望したい」と述べた。
江差町の照井誉之介町長は、「洋上風力発電事業に協力しながら地域振興を進めていきたい。そのなかで、江差港を最大限有効に活用しながら地域振興にあたっていただきたい。また、設置海域の境界や固定資産税についての問題が起こらないよう法定協議会の場で議論していただきたい」と要望した。
漁業生産に必要な
電気料軽減を要望
北海道檜山沖でも漁業振興策が焦点
ひやま漁協の工藤幸博組合長は「漁業関連施設の更新や改修、漁業生産に必要な冷凍・冷蔵施設や、活魚水槽に使用する電気料を軽減するような取り組みなどを検討してもらいたい。漁業者が安心して将来にわたり漁業経営の継続ができるようにするとともに、メンテナンスに関連する船の業務を請け負うことも期待している」と話した。
経済産業省風力政策室の石井孝裕室長は、「地域や漁業と共存共栄できる洋上風力発電事業の推進が極めて重要だと考えている。電力の地産地消にもほかの海域と同様に取り組んでいきたい。境界に関する諸問題については、法定協議会の役割だと考えている」と説明した。
DATA
取材・文/高橋健一