注目キーワード

English 日本語

国内事例

「風の宝庫」 北海道 再エネ関連産業の集積を目指して

風力発電のポテンシャルが全国トップクラスの北海道沖で、国内最大規模の洋上風車が本格的に動き出した。北海道は、札幌市と連携して再エネ関連産業の集積を目指している。

14基の洋上風車が
元日午前0時に本格稼働

今年の元日午前0時、北海道の石狩湾新港沖で洋上風車の商業運転がスタートした。最大出力は11万2000kW。商用の洋上風力発電所としては国内最大規模だ。

事業主体は、グリーンパワーインベストメント。小樽市と石狩市にまたがる石狩湾新港の沖合に、出力8000kWの風車を14基設置している。海上工事では、国内で初めて「ジャケット式」の基礎が採用された。ジャケット式基礎の製作と施工を担当したのは、日鉄エンジニアリング。昨年7月からは、清水建設が建造した国内最大のSEP船「BLUE WIND」が洋上風車を設置している。


洋上風車14基を設置した北海道石狩湾新港沖。

固定資産税をめぐり
石狩市と小樽市が対立

この事業をめぐっては、沿岸の石狩市と小樽市が約10年にわたって未解決の問題を抱えていた。洋上風力発電設備の固定資産税を、どのように配分するかをめぐって主張が対立していたのだ。石狩市は、石狩湾漁業協同組合が周辺海域の漁業権を保有していることから100%の課税権があると主張し、一方の小樽市は、陸地の境界から垂直に延ばした線が境界だと主張していた。

この問題では、北海道が昨年11月、石狩湾新港の管理組合の議員数や負担金割合が両市で同じであることなどから、両市が協議して配分を決めるよう助言していた。その後の協議で、海上の境界画定をせずに、2024年度から課税・徴収をそれぞれの市が50%ずつ行うことで正式に合意した。

昨年12月に開催された北海道檜山沖の法定協議会でも、沿岸の自治体から固定資産税の配分について懸念の声が出された。檜山沖は、せたな町、八雲町、江差町、上ノ国町の4町の沖合が事業想定区域になっている。法定協議会では、経済産業省風力政策室の石井孝裕室長が、境界に関する諸問題については法定協議会で議論すべきとする認識を示し、不安の解消に努めた。

北海道と札幌市が
国家戦略特区制度を検討

北海道では、昨年5月に日本海側の5海域が「有望な区域」に整理され、再エネの利活用を進めようという気運が高まっている。再エネ関連産業を道内に集積させるため、北海道と札幌市は、国家戦略特区制度の活用を検討している。北海道の鈴木直道知事は今年1月、洋上風力発電の導入促進や水素の利活用に関する規制緩和を国に提案する考えを明らかにした。市町村などの意見を聞き、具体的な内容を検討していく方針だ。

水素エネルギーの利活用のイメージ(国・地方脱炭素実現会議資料を参考に商船三井テクノトレードが作成)

函館沖で
洋上水素製造を検討

昨年10月には、函館市や北洋銀行、北海道大学、商船三井テクノトレードなどが函館エリアで海洋エネルギーを活用した洋上での発電および水素の製造・貯蔵を行い、函館での水素エネルギーの利活用の検討を開始すると発表した。

検討会では、地元の海洋再生可能エネルギーを洋上で発電し水素に変えて民間利用する、エネルギーの地産地消のあり方を検討することを軸においている。船の燃料などの港湾関係だけでなく陸上施設の建設などでの活用や、自然災害などによる陸上間のエネルギー供給網の途絶に対応する自治体のBCP対策としての利用も視野に入れている。


WIND JOURNAL vol.6(2024年春号)より転載


取材・文/高橋健一

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.10 | ¥0
2026/3/17発行

お詫びと訂正

広告お問い合わせ

アクセスランキング

  1. 洋上風力から欧州企業の撤退相次ぐ 事業性の担保が急務
  2. 福井県、あわら市沖洋上風力検討へ 船舶航行特性の調査事業者を公募
  3. 風車サプライチェーン強靱化へ NEDOが浮体式の生産技術開発を公募
  4. 脱炭素オークションの上限価格 洋上風力は最高70万円台、前回比最大で4倍に
  5. 浮体式洋上風力の過酷環境実証が始動、国が海域公募を開始
  6. 着床式洋上風力の案件形成、30円/kWh程度までの海域を優先的に開発
  7. 停滞する洋上風力第4ラウンド 日本の構造的な課題が一気に噴出
  8. ベスタスが北九州市に設備拠点計画、国内市場の持続的成長と十分な受注確保が前提
  9. 【洋上風力第1ラウンド】千葉県銚子市沖 三菱商事が漁業振興に向けて追加的な施策を公表
  10. 『WIND JOURNAL』vol.10[2026年春号]3/17発行!

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.10 | ¥0
2026/3/17発行

お詫びと訂正