留萌市の中西市長「洋上風力発電の事業化、基地港湾としての活用を目指す」
2024/03/11
北海道留萌市の中西俊司市長は3月5日の定例市議会で「スタートラインである一定の準備段階に進んでいる区域への申請を実施したい」と述べ、同市沖で洋上風力発電の事業化を目指す考えを明らかにした。
今年1月に
港湾・再エネ室を新設
今年1月に機構改革した留萌市役所
留萌市は、市民や自治体関係者などを対象にした勉強会を実施して、洋上風力発電についての理解を深める取り組みを進めている。市では、1月1日付の組織改編で、洋上風力発電などの再生可能エネルギー産業の誘致や留萌港の利活用促進を図るため、経済港湾課の港湾部門を独立させ、港湾・再生可能エネルギー室を新設している。
留萌市の中西市長は、3月5日に開会した市議会の市政執行方針で、「国が進める2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギー普及の切り札とされる洋上風力発電につきましては、日本海からの強く有用な風が吹く自然条件や一体的な利用が可能な水深岸壁、広大な背後用地がある重要港湾留萌港を有する留萌市は、高いポテンシャルを秘めております。洋上風力発電は、今後の留萌市における『新たな産業』として、地域経済の発展をけん引すると期待される事業であり、新たに『港湾・再生可能エネルギー室』を立ち上げ、市として積極的に進める意思を表明し、窓口の一元化を図ったところであります。留萌市沖での洋上風力発電の実現につきましては、まずはスタートラインである『海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律』に基づく『一定の準備段階に進んでいる区域』への申請を実施したいと考えております」と述べ、同市沖で洋上風力発電の事業化を目指す考えを明らかにした。
そのうえで、「海域を使用する漁業者への影響や留萌管内の自治体などの考え方も十分に配慮、尊重しながら、検討を進めてまいりたいと考えており、国や北海道とも連携しながら、漁業者をはじめ、関係機関、団体との相互に共通理解を深めてまいります。また、並行して国で議論が進められている排他的経済水域(EEZ)での洋上風力の展開につきまして、設置を可能とする法律の改正案の概要がまとめられたところでありますが、留萌市としても漁業経営に影響が少なくメガファーム化が期待できる洋上風力のEEZ展開を注視し、案件形成も視野に入れ、経済界や漁業関係者などとも連携して、国への要望を進めてまいります」と述べ、漁業者や周辺の自治体との協議を進めていく考えを示した。
基地港湾としての活用や
企業誘致を目指す
地元の港湾利用について中西市長は、「大水深岸壁や広大な用地を有する留萌港三泊地区を活用した浮体式風車の組み立てなどを行う企業の誘致や、近隣海域での洋上風力に携わる作業船の基地港としての利用、資機材などを搬出入するための補助港としての後方支援など、建設拠点となる基地港湾としての活用を目指してまいります」と述べ、洋上風力発電の事業化によって、臨海エリアの活性化を目指す考えを強調した。
DATA
取材・文/高橋健一