洋上風力第2ラウンド「新潟県村上市、胎内市沖」メンテナンスは岩船港を活用
2024/09/17
新潟県村上市、胎内市沖の洋上風力発電事業は、ラウンド事業のなかで最大規模の1万8000kWの風車を設置する。建設時の基地港湾は新潟港、メンテナンスは岩船港(村上市)を活用する。
メイン画像 メンテナンスで活用する岩船港(新潟県村上市)
ラウンド事業で最大規模
1万8000kWの風車を設置
新潟県村上市、胎内市沖の促進区域(出典 経済産業省)
「新潟県村上市、胎内市沖」は、村上市の岩船港付近から胎内市と新発田市の境界にかけての海域で、促進区域の面積は9188.1ヘクタール。計画によると、風車の施工は着床式で、最大出力は68万4000kW。第2ラウンドの4海域のなかで、面積・最大出力ともに最も大きい。
事業主体は、三井物産、大阪ガス、RWE(ドイツ)が出資する「村上胎内洋上風力コンソーシアム」。新潟県村上市、胎内市沖は、第2ラウンドの4海域のなかで唯一GE製の風車を採用する。すでに実施が決まっているラウンド事業のなかで最大規模の1万8000kWの風車を38基設置する。供給価格は、3.00円/kWh。
メンテナンスは
村上市の岩船港を活用
新潟県村上市、胎内市沖の工事計画(出典 経済産業省)
建設時と撤去時の基地港湾は新潟港東港区(新潟市)、メンテナンスは岩船港(村上市)を活用する。2025年度にかけて海底地盤の調査を実施して、早ければ2025年4月に着工、2028年11月から洋上風車の設置に取り掛かる。
世界2位の洋上風力事業者であるRWEの豊富な経験を活かして、2029年6月の運転開始を目指す考えだ。
ナセルの国内組み立てや
O&M人材の積極育成を推進
新潟県村上市、胎内市沖の業務実施体制(出典 経済産業省)
詳細な業務実施体制は明らかにされていないが、各分野で実績・能力を有する協力企業を選定し、コスト削減、国内企業積極活用、早期完工、事業の確実な実施を実現しするとしている。さらに、パートナー企業(地域共生・オフテイカー・アグリゲーター)、銀行団、政府・自治体、地域関係者の皆様と連携し、長期的・安定的な事業実施を実現するとともに、この事業が地域やステークホルダーの皆様にもたらす波及効果を最大化すると説明する。
RWEが欧州で培った洋上メンテナンスノウハウの積極的に導入し、電力安定供給に資する国内サプライチェーン構築をハード・ソフト両面から強力に推進し、地域・国内の経済発展・雇用創出に貢献したいとしている。
サプライチェーンの構築にあたっては、「ナセル国内組み立て」、「国内企業の積極的な活用」、「EPCコントラクターと新潟県内企業のマッチングイベントを実施」、「O&M人材の積極育成」を検討する。
漁業振興策で
3つのプロジェクト
新潟県村上市、胎内市沖の地域共生策(出典 経済産業省)
総投資額は非公表だが、村上胎内洋上風力コンソーシアムは事業実施に伴う新潟県内の生産誘発額を2615億円、雇用者誘発数を1万9671人と推計している。地域共生策としては、(1)新産業育成・雇用創出、(2)人材育成・教育、(3)観光振興、(4)漁業振興、(5)地域生活支援を5つの重点分野と位置付け、地域への効果が持続し好循環を生むよう継続して取り組む考えだ。
今後は、岩船港へのO&Mセンター設置、村上市・胎内市の小中学校への出前授業、洋上風力教育ツアーの実施、地元大学・高校等の教育機関からの採用、市内大学との洋上風力発電業界の発展、人材育成の共同検討に関する産学連携、国内大手自動車メーカによる脱炭素と環境に関する講演、大手旅行代理店による村上市・胎内市との観光協定の締結・ツアー販売、首都圏における新潟県水産物のプロモーションの実施を検討する。
取材・文/高橋健一