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環境省の浮体式促進事業 輪島市沖と北九州市沖の提案を採択

環境省は、今年度の浮体式洋上風力導入促進事業で、エネルギーの地産地消を目指す地域における計画策定事業について、石川県輪島市沖と福岡県北九州市沖の提案を採択した。

<目次>
1.石川県輪島市沖 地産地消やビジネス形成を検討
2.輪島建設協同組合 再エネ技術評価・実証事業にも採択
3.福岡県北九州沖 地産地消の地域モデルを検証

 

石川県輪島市沖
地産地消やビジネス形成を検討


石川県輪島市沖

環境省の浮体式洋上風力導入促進事業は、エネルギー安全保障や地域の脱炭素化の観点から、浮体式洋上風力発電の導入加速を進めるのが目的だ。地域が浮体式洋上風力発電によるエネルギーの地産地消を目指すのに必要な各種調査、地域での事業性・CO2削減効果の検証を実施して、将来の導入に向けた計画の策定を支援する。また、事業を通じて、地域の自立的な脱炭素化ビジネスの形成、地域循環共生圏の構築につなげる。

石川県輪島市の輪島建設協同組合が提案した「輪島市沖浮体式洋上風力発電によるエネルギー地産地消・脱炭素化ビジネス形成検討調査」は、同市沖での発電や、エネルギー地産地消、脱炭素化ビジネスの形成について調査・検討する。

輪島市沖をめぐっては、約10年前に複数の事業者が洋上風力発電を計画したが、漁業関係者の反対で中止になった経緯がある。その後、昨年9月に洋上風力発電の誘致を検討する協議会が設立された。このとき、誘致の可否については、協議会の漁業関係者全員が一致しなければ否決すると規約に定めている。

輪島建設協同組合
再エネ技術評価・実証事業にも採択

環境省では、「ネイチャーポジティブとカーボンニュートラルの同時実現に向けた再生可能エネルギー推進技術等の評価・実証事業」を同時に公募していたが、こちらでも輪島建設協同組合が採択された。この事業は、発電設備が設置される可能性がある海域に発電設備を模した「観測ブイ」を設置して、魚群の動きなどを把握し、漁業への影響を調べるものだ。洋上風力発電の導入にあたっては漁業関係者の理解を得られるかが最大の課題になっているため、この事業で得られる科学的データが大きなポイントになりそうだ。

福岡県北九州沖
地産地消の地域モデルを検証


福岡県北九州市沖

福岡県北九州市沖では、株式会社グローカル(広島県呉市)が提案した「北九州市沖合におけるエネルギー地産地消型の浮体式洋上風力導入に向けた実現性評価」が採択された。北九州市沖への浮体式洋上風力発電の導入で、エネルギーの地産地消による持続可能な地域モデルの構築か可能かどうかを検証する。

グローカルは、洋上風力発電の総合エンジニアリング企業。洋上風力発電の低コスト化・効率化を目的とした技術開発に取り組むとともに、海外メーカーと提携して、国内へ設備導入を行っている。

同社はNEDOの委託事業「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(バージ型)」に参加し、プロジェクトを推進してきた。北九州市沖約15キロの海域で50メートル四方のバージ型浮体に3000kWの2枚翼風車を搭載して、2019年6月から本格的な稼働を始め、2022年度まで実証運転を行っている。

DATA

令和6年度浮体式洋上風力導入促進事業 (うちエネルギーの地産地消を目指す地域における計画策定事業)の採択について

令和6年度ネイチャーポジティブとカーボンニュートラルの同時実現に向けた再生可能エネルギー推進技術等の評価・実証事業(うち浮体式洋上風力発電関連)の公募採択結果について


取材・文/横山 渉

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