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政策・制度

横浜市 全国の自治体をリードするSDGs未来都市

横浜市は、2021年3月に市役所新庁舎の使用電力を100%再生可能エネルギー化するとともに、市立学校に太陽光パネルや蓄電池を設置する取り組みを進めている。みなとみらい21地区では、国内最大規模の熱エネルギーの脱炭素化に取り組み始めた。

2018年に
SDGs未来都市に選定

横浜市風力発電所「ハマウイング」

横浜市風力発電所「ハマウイング」

神奈川県東部に位置する横浜市は、人口が約377万2000人、世帯数が約180万世帯という日本最大の基礎自治体だ。事業者も多く、約11万社が事業を展開している。このうち99.6%以上が中小企業である。

同市は18年に国から、SDGsの達成に向けて優れた取り組みを行う「SDGs未来都市」に選定され、50年までに脱炭素化を目指す「Zero Carbon Yokohama」を宣言した。21年には、全国の約160市区町村がその知見を共有し、脱炭素社会の実現に向けた具体的な議論を行う「ゼロカーボン市区町村協議会」を会長都市として設立し、自治体の脱炭素化をけん引するトップランナーの役割を果たしている。

市立学校の校舎に
太陽光パネルや蓄電池を設置

使用電力を100%再エネ化した横浜市役所新庁舎

使用電力を100%再エネ化した横浜市役所新庁舎

横浜市は50年までに、市内のエネルギー消費量を約50%削減すること、市内の消費電力の100%を再エネ由来の電力へ転換することを目指し、市民や事業者への協力を呼び掛けています。21年3月には、市役所新庁舎の使用電力を100%再エネ化している。市内2カ所の廃棄物焼却施設の排熱で発電した電力を、自己託送制度を活用して新庁舎に供給している。さらに、市内の住宅に設置した太陽光のうち、FITによる買取期間が満了した「卒FIT」電力も新庁舎に供給して、再エネ100%とともに再エネの地産地消を進めている。

21年度からは、市立学校の校舎にPPAを活用して太陽光パネルを設置する事業を開始している。そのうち地域防災拠点となる学校には蓄電池も導入し、災害時の非常用電源としても活用していきたい考えだ。PPA 事業を活用した導入実績は、21年度:11 校、22年度:18 校、23年度:35 校、24、25年度:計 45 校(予定)となっている。

みなとみらい21地区で
熱エネルギーの脱炭素化を開始

熱エネルギーの脱炭素化に取り組むみなとみらい21地

熱エネルギーの脱炭素化に取り組むみなとみらい21地区

「みなとみらい21地区」は22年4月に脱炭素先行地域に選定され、再エネ電力の導入など、公民連携でさまざまな取り組みを進めている。この地区の脱炭素化を実現するためには、CO2排出量の約3割を占める熱の脱炭素化が不可欠となっている。このため、熱の使用に伴うCO2排出量(24年度分)を約18,000t削減する、熱エネルギーの脱炭素化としては日本最大規模の取り組みがスタートする。

みなとみらい21地区で排出されるCO2は、年間で約29万トンである。このうち約7割が電気、約3割が熱の利用に起因している。これまで、脱炭素先行地域の取り組みとして、電気の脱炭素化を推進してきたが、地区の脱炭素化を実現するためには、電気と熱の双方の脱炭素化が必要となる。熱利用に起因するCO2は年間約90000トンで、この量は家庭で言えば約30000世帯分にあたる。みなとみらい21地区は、この熱の脱炭素化を進めることで、地区が利用するエネルギー全体の脱炭素化に取り組む。

みなとみらい21中央地区は、国内トップクラスの地域冷暖房エリアとして、各建物で冷暖房用の熱(冷水・蒸気)を利用している。横浜市では、エリア内にある15施設でJ-クレジットなどを活用してカーボン・オフセットを行うことにより、熱の利用に伴うCO2排出量を実質ゼロにすることを目指している。

10月25日(金)に開催する「第31回PVビジネスセミナー」では、横浜市カーボンニュートラル事業推進課の松下 功課長が「横浜市 脱炭素に対応したまちづくりへの挑戦」について講演します。


2035年度やそれ以降を見据え、電源構成や脱炭素目標、再生可能エネルギーや原子力の利用方針を定める第7次エネルギー基本計画の策定作業が進められています。いま注目のコーポレートPPAの先進事例や、国内外で開発された最新テクノロジー、蓄電池を活用した新たなビジネスモデルを紹介します。国や地方自治体の政策動向に詳しい専門家や、業界をリードする事業者を登壇者としてお迎えし、皆様と一緒に考えるセミナーを予定しております。

DATA

横浜市の地球温暖化対策

横浜市 脱炭素先行地域の取り組み


取材・文/高橋健一

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