【洋上風力第2ラウンド】新潟県村上市・胎内市沖、18MW風車の配置計画図を公表「定期航路や油ガス田に配慮」
2024/11/20
新潟県村上市・胎内市沖の第4回法定協議会が11月7日に開かれ、選定事業者が洋上風車38基の配置計画図を公表した。1万8000kWの風車は、メーカー側の開発が遅れており、今後の調整により計画が変更される可能性があると説明している。
1.第2ラウンドの4海域で面積・出力規模が最大
2.18MWの洋上風車 計画変更の可能性も
第2ラウンドの4海域で
面積・出力規模が最大
新潟県胎内市沖
新潟県村上市・胎内市沖の第4回法定協議会は今月7日に胎内市産業文化会館で開かれた。法定協議会のメンバーは、経済産業省や国土交通省、新潟県のほか、村上市、胎内市、新潟漁業協同組合、新潟県さけます増殖協会、三面川鮭産漁業協同組合、荒川漁業協同組合、胎内川漁業協同組合、石油資源開発、日本海洋石油資源開発、粟島汽船などで構成される。今回から選定事業者の企業連合が構成メンバーに加わり、会議では事業者側が洋上風力発電事業の概要を説明した。
新潟県村上市・胎内市沖は、村上市の岩船港付近から胎内市と新発田市の境界にかけての海域で、促進区域の面積は9188.1ヘクタール。計画によると、風車の施工は着床式で、最大出力は68万4000kW。第2ラウンドの4海域のなかで、面積・最大出力ともに最も大きい。
事業主体は、三井物産、大阪ガス、RWE(ドイツ)が出資する「村上胎内洋上風力コンソーシアム」。新潟県村上市、胎内市沖は、第2ラウンドの4海域のなかで唯一GE製の風車を採用する。すでに実施が決まっているラウンド事業のなかで最大規模の1万8000kWの風車を38基設置する。供給価格は、3.00円/kWh。
18MWの洋上風車
計画変更の可能性も
洋上風車の配置計画図(出典 村上胎内洋上風力コンソーシアム)
新潟県村上市・胎内市沖の第4回法定協議会では、選定事業者が1万8000kWの風車38基の配置計画図を公表した。洋上風車の設置場所を決めるにあたっては、村上市の岩船港と粟島を結ぶ定期航路と、岩船沖油ガス田のプラットフォームや海底パイプラインの撤去作業に配慮した。1万8000kWの風車は、メーカー側の開発が遅れており、今後の調整により上記の計画が変更される可能性があると説明している。
設置方法については、水深がおおむね20メートルよりも浅い海域で、離岸距離は2km以内の範囲には風力発電機を設置しないこと、海底ケーブルは、漁業への操業に支障をきたすことがないよう、ケーブル埋設リスク評価に基づいて、海底地盤状況、気象・海象状況、周辺海域の利用状況などから30年間露出することがない深さに埋設することを説明した。さらに、地元の要望に沿った地域共生策を確実に実行するため、「68万4000kW×250円/kW×30年」という計算式に基づいて総額51億3000万円を基金に拠出する。
事業スケジュール(出典 村上胎内洋上風力コンソーシアム)
現在、環境影響調査や海底地盤調査の準備を進めていて、陸上変電設備工事は2025年4月から、海洋工事は27年4月に開始する予定。28年11月に洋上風車の設置に取り掛かり、29年6月の運転開始を目指す。
建設期間の事業実施体制(出典 村上胎内洋上風力コンソーシアム)
建設期間の事業実施体制については、選定中だとして詳細を明らかにしなかった。事業会社は株主と連携の上、各分野で実績・能力を有する協力企業を選定し、コスト削減、国内企業の積極活用、早期完工、事業の確実な実施を目指すとしている。
また、基金の活用を伴わない地域共生策として、「県内大学との産学連携」「村上市・胎内市の小中学校への出前授業の実施」「首都圏における新潟県水産物のプロモーションの実施」に取り組む。漁業振興策では、首都圏でのPR策として、1日約2,000人が利用する三井物産の本社社員食堂(東京)で、新潟県産の水産物を使った料理提供などのPRイベントを定期的に開催するほか、三井物産本社食堂を運営するパートナー企業が料理の試作開発を担当する予定。
12月12日(木)に開催する「第4回WINDビジネスフォーラム」では、北海道石狩市企業連携推進課の新産業創出担当課長 池内直人氏と、北海道寿都町公営企業企業管理課の風力発電事業係長 土開直樹氏が講演します。
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DATA
取材・文/高橋健一