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【第4ラウンド深堀り解説】選定事業者の撤退を防ぐ価格調整スキーム、過去のラウンド事業にも適用へ

昨年末に洋上風力第3ラウンドの選考結果が公表された。国は第4ラウンドから公募制度を大幅に見直すが、注目すべきは価格調整スキームだ。ラウンド事業の行方を徹底解説する。

メイン画像:事業を再評価する秋田県能代市・三種町・男鹿市沖。

<目次>
1.JERAと東北電力は2回連続で選定事業者に
2.過去のラウンド事業も物価変動に1回のみ適用へ

 

JERAと東北電力は
2回連続で選定事業者に

第3ラウンドも前回と同様にFIP制度が適用されたため、オフサイトPPAを活用できる。高額な価格で買い取ってくれる需要家を、いかに確保して長期契約できるのかがカギとなる。

青森県日本海南側は、JERA、グリーンパワーインベストメント、東北電力の3社で構成する企業連合が選定された。この企業連合は「地域との調整等」の項目で40点満点の評価を得た。さらに事業の実施能力でも、80点満点で70.625点と最高の評価を獲得している。JERAと東北電力は第2ラウンドの「秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖」に続いて選定事業者となった。東北電力が、自社供給エリアでの公募入札で強みを発揮した。

山形県遊佐町沖には、国際石油メジャーであるBP(英国)の洋上風力子会社が事業参画する。同社はJERAと2025年9月末をめどに洋上風力発電事業を統合し、両社の共同出資(出資比率50:50)による合弁会社を設立する。両社は30年末までに、開発資金として最大58億米ドルを合弁会社に出資することを決めていて、洋上風力発電事業を開発・所有・運転する事業者として、世界有数の規模となる。

 

 

過去のラウンド事業も
物価変動に1回のみ適用へ

世界的なサプライチェーンひっ迫や物価変動による費用増大などの影響で、日本でも洋上風力発電事業の中断や撤退の懸念が生じていることから、国は事業者の公募制度を改訂する。注目されているのが価格調整スキームの導入だ。同スキームはFIPの基準価格を物価変動に連動させ、民間事業者のみでは対応できないリスクの一部を制度で補てんする。具体的には、落札後1回だけ調整を行う方式(1回調整方式)を採用する。建設期間における資材価格などのコスト上昇分を40%程度まで基準価格に転嫁する方針だ。

ただ、価格調整スキームが導入されてもゼロプレミアムに収れんする価格評価のままでは無意味になってしまうため、一定程度安価な「準ゼロプレミアム水準」を新設する。

すでに事業者からは悲痛な声があがっている。第1ラウンドと第2ラウンドの選定事業者は、経済産業省と国土交通省の洋上風力合同審議会で、コスト急増によって事業の採算性が危機的な状況に陥る可能性があることを訴えている。そこで国は、第1、第2ラウンドだけでなく、第3ラウンドの選定事業者も含めて、改訂した公募制度を条件付きで適用する見通しだ。制度の適用を受ける選定事業者に対しては、公募占用指針の変更(保証金制度の見直し、価格調整スキームの導入)を行い、その後変更された指針に基づく計画変更申請を行う必要がある。その際、変更申請が妥当かどうかの判断については、学識経験者または第三者委員会の意見を聴取することを検討している。

過去のラウンド事業にも価格調整スキームをさかのぼって適用することについては問題点がある。第2、3ラウンドはFIP制度だが、第1ラウンドはFIT制度を適用している。業界関係者からは「FIP制度のもと、ゼロプレミアムの基準価格で落札した第2、3ラウンドの価格調整に比べて、固定価格で買い取るFIT制度を適用する第1ラウンドの選定事業者が有利になるのではないか。つまり第1ラウンドの選定事業者は、物価変動への対応として、コスト上昇分が買取価格にダイレクトに反映されるのでは」と指摘する声がある。こうしたなか、国は落札時点でFITが適用されていても、FIPに移行できるとする改訂案を示している。

PROFILE

松崎茂雄

エネルギー問題を20年以上にわたって取材。独自の視点で国の政策に斬り込む経済ジャーナリスト。趣味は座禅とランニング。


WIND JOURNAL vol.8(2025年春号)より転載

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