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台湾から見た日本の洋上風力発電とは、着床式洋上風力発電が進む最前線リポート

着床式洋上風力発電が進む台湾の現状を知りたくて、エネルギー総合展「エナジー・タイワン」を取材した。台湾の最新事情をリポートする。

メイン画像:タイヤ・リニューアブルエナジーのブースでBWイデオルが講演した。(筆者撮影)

<目次>
1.3段階の開発戦略 供給網の形成に課題も
2.海外企業の台湾法人 日本市場への関心高く
3.アジア太平洋地域をふかんする視点への気付き

 

3段階の開発戦略
供給網の形成に課題も

台湾は、洋上風力発電の開発戦略を2015年からの「デモンストレーション(師範)」、20年からの「ポテンシャル(潜力)」、25年からの「ゾーン(区塊)」という3段階に分けている。第一段階では、20年までに台湾海峡北部のフォルモサ1洋上風力発電事業など合計238MWを開発した。第二段階では25年までに5500MWの開発目標を掲げているが、達成は困難だとみられている。サプライチェーンを域内に形成するため、台湾企業の優先的な活用を開発事業者に求めたこと(昨年11月に要件を緩和)や、洋上風力発電の電気を取引する電力購入契約(PPA)が普及していないことなどが課題とされている。

 

 

海外企業の台湾法人
日本市場への関心高く

台湾貿易センターが主催するエネルギー関連産業の総合展示会「エナジー・タイワン」は、昨年10月上旬に開催された。会場の台北南港展示センターは、東京ビッグサイトの半分くらいの広さだろうか。展示会事務局によると、同時開催展とあわせて2万人超が来場したという。

大きなブースを出展していたのは、台湾の総合エネルギー企業であるJ&Vエナジーテクノロジー(雲豹能源)だ。同社はローカルの発電事業者で、21年、台湾の発電事業者やサプライヤーと「洋上風力台湾チーム」を結成した。アジア太平洋地域での洋上風力発電開発を視野に入れている。


J&Vエナジーテクノロジーのブース。(筆者撮影)

同じく台湾の発電事業者であるタイヤ・リニューアブルエナジー(台亜風能)は、フランスや日本で浮体式基礎を設置した実績があるBWイデオル(フランス)を招待し、同社の「ダンピング・プール®」という特許技術についての講演を行なった。これから浮体式洋上風力発電に取り組む台湾にとって、注目度の高いテーマだ。

洋上風力発電施設向けのO&M事業に関して日鉄エンジニアリングと協業しているドイチェ・ウインドテクニク(ドイツ)は、台湾に事業拠点がある。フォルモサ1・2洋上風力発電事業をはじめとする実績や、アジア太平洋地域をターゲットにしていることをアピールしていた。


にぎわうドイチェ・ウインドテクニクのブース。(筆者撮影)

また、洋上風力発電の建設やO&MサービスのプロバイダーであるOEGリニューアブルズ(英国)の担当者に日本から来たことを伝えると、日本の今後の促進区域指定の見通しや、洋上風力公募の動向などについて詳しく質問された。同社は昨年5月、日本の大手商社とパートナーシップの覚書を結んでいる。

アジア太平洋地域を
ふかんする視点への気付き

海洋調査やO&M、人材育成など幅広い事業を展開しているインターナショナル・オーシャン・グループ(国際海洋集団・台湾)のイーサン・ワンCOOは、「台湾では着床式洋上風力発電が進んでいますが、台湾の市場は他の地域と比べて大きくありません。それに比べて、日本には浮体式洋上風力発電を含めると大きな市場があります。台湾と日本がさまざまな面でコラボレーションすることで、双方の市場にとって好ましい影響が生まれることを願っています」と話していた。


インターナショナル・オーシャン・グループのイーサン・ワンCOO(右)と筆者。

欧州では、北海を囲む英国、オランダ、ドイツ、デンマークなどの国々が1つの市場ととらえられている。欧州などの企業の中には、シーメンスガメサのように台湾を通じて日本や韓国へアプローチを強めている企業もある。新たな洋上風力発電産業を日本国内で成長させるには、より広い視野で市場の動きをつかむことが大切だと気付いた。

 

 


取材・文:山下幸恵(office SOTO)

WIND JOURNAL vol.8(2025年春号)より転載

2026年1月16日(金)に開催する「第5回WINDビジネスフォーラム」では、福岡県北九州市洋上風力拠点化推進課の白井伸弥課長が、2026年春に運転開始を予定している北九州市響灘の洋上風力発電事業の将来展望や、浮体式洋上風力発電の総合拠点整備について講演します。


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