【洋上風力第2ラウンド】新潟県村上市・胎内沖、陸上工事開始を今年10月頃に延期「発注先の選定に遅れ」
2025/04/10

洋上風力第2ラウンドの新潟県村上市・胎内市沖の陸上送変電設備工事の開始が、当初の予定よりも半年遅れて今年10月頃に延期されることがわかった。事業者側は、陸上工事発注先の選定協議に時間を要しているためと説明している。
1.第2ラウンドの4海域で面積・出力規模が最大
2.陸上工事の着工を今年10月頃に延期
第2ラウンドの4海域で
面積・出力規模が最大
事業計画の概要(出典 村上胎内洋上風力コンソーシアム)
新潟県村上市・胎内市沖は、村上市の岩船港付近から胎内市と新発田市の境界にかけての海域で、促進区域の面積は9188.1ヘクタール。計画によると、風車の施工は着床式で、最大出力は68万4000kW。第2ラウンドの4海域のなかで、面積・総出力ともに最も大きい。
事業主体は、三井物産、大阪ガス、RWE(ドイツ)が出資する「村上胎内洋上風力コンソーシアム」。新潟県村上市、胎内市沖は、第2ラウンドの4海域のなかで唯一GE製の風車を採用する。すでに実施が決まっているラウンド事業のなかで最大規模の1万8000kWの風車を38基設置する。供給価格は、3.00円/kWh。
陸上工事の着工を
今年10月頃に延期
当初の事業スケジュール(出典 村上胎内洋上風力コンソーシアム)
当初の計画では、陸上送変電設備工事は2025年4月から、海洋工事は27年4月に開始する予定。28年11月に洋上風車の設置に取り掛かり、29年6月の運転開始を目指していた。発電事業者の村上胎内洋上風力コンソーシアムは、関係自治体に対して、陸上工事発注先の選定協議に時間を要していることから、着工時期を25年4月から10月頃に変更すると伝えていたことが明らかとなった。
建設期間の事業実施体制(出典 村上胎内洋上風力コンソーシアム)
世界的なサプライチェーンひっ迫や物価変動による費用増大などの影響で、日本でも洋上風力発電事業の中断や撤退の懸念が生じている。洋上風力第1ラウンドの秋田・千葉の計3海域では、事業主体の三菱商事が資材価格の高騰などを理由に事業の再検討を行っている。国は、洋上風力発電事業の実施の確実性を高めるため、制度の見直しを進めている。新潟県村上市・胎内市沖の着工の延期は、第1ラウンド3海域や国の制度見直しの動向を見極めたいという思いが背景にありそうだ。
DATA
「新潟県村上市及び胎内市沖」における洋上風力発電事業の概要について
取材・文/高橋健一