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秋田市のブレード落下事故から1カ月 原因の早期解明が課題

秋田市で風力発電設備のブレードが落下した事故は6月2日、発生から1ヶ月が経過した。先月28日までに破損したブレードが現場から運び出され、茨城県にあるメンテナンス会社の施設で原因調査が本格化している。

メイン画像:破損したブレードの搬出作業 5月29日(出典 株式会社新エネルギー技術研究所)

<目次>
1.5月28日までに破損したブレードを搬出
2.秋田市が事業者から聞き取り調査
3.秋田県の鈴木知事 安全基準や点検方法の見直しを強く求める

 

5月28日までに
破損したブレードを搬出

破損ブレードを取りはずし800(出典 株式会社新エネルギー技術研究所)

破損したブレードの取りはずし作業 5月23日(出典 株式会社新エネルギー技術研究所)

5月2日、秋田市の海浜公園で、さくら風力が設置した風力発電設備からブレードが落下し、近くで倒れていた81歳の男性が死亡した。風車のメンテナンス業務を請け負っている日立パワーソリューションズは、先月20日からクレーンを使って破損したブレードの取りはずし作業を進めていた。そして5月28日までに破損したブレードが現場から運び出された。その後、既設の2枚のブレードも取り外されている。

破損したブレードは、茨城県にある日立パワーソリューションズの施設に運ばれ、今週から原因調査が本格化している。さくら風力は先月12日、風力発電や環境条件に詳しい大学の研究者3人を第三者委員としてメンバーに加えて「新屋浜風力発電所ブレード破損事故調査委員会」を設置している。オブザーバーとして、経済産業省関東東北産業保安監督部東北支部も参加する。さくら風力の親会社「新エネルギー技術研究所」が事故調査委員会の事務局をつとめる。

 

 

秋田市が事業者から
聞き取り調査

今回の事故を受けて、秋田市が事業者を対象に進めていた安全対策などに関する聞き取り調査について、市は問題が見つからなかったことを明らかにした。これは先月30日に開催された秋田市再生可能エネルギー推進検討委員会で報告された。秋田市は、市内で風力発電所を運用している12の事業者のうち、さくら風力を除く11の事業者を対象に聞き取り調査を進めていた。

調査では、風車のメンテナンスや監視体制、緊急時の対応、これまでに発生したトラブルの状況などについて聞き取りを実施した。この結果、対象の事業者すべてが法律に沿った対応をしていて問題は見つからなかったと委員会に報告した。

秋田県の鈴木知事
安全基準や点検方法の見直しを強く求める

3枚のブレードの取りはずしが完了(出典 株式会社新エネルギー技術研究所)

3枚のブレードの取りはずしが完了(出典 株式会社新エネルギー技術研究所)

秋田県の鈴木健太知事は、先月30日の県議会で「再生可能エネルギーの導入にあたっては、安全性の確保が大前提であってはならないこと」と述べたうえで、自らが先頭に立って安全基準や点検方法の見直しを国に対して強く求めていく考えを強調した。


取材・文/高橋健一

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