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韓国の海洋土木企業YUJOOのタイセル工法が実現する洋上風力のコスト構造改革

韓国の海洋土木企業YUJOOは、独自開発した「タイセル工法」を強みに日本市場へ本格参入する。小型ブロックを水中で一体化する技術は、洋上風力基礎の建設コスト削減と工期短縮に貢献する。

メイン画像:韓国 済州島に建設したタイセル工法の着床式実証施設(出典 株式会社YUJOO)

<目次>
1.施工プロセスを簡素化する タイセル工法を独自開発
2.タイセルブロックの一体化技術を 着床式基礎構造に応用
3.海底の占有面積を縮小する 独自の浮体基礎システム
4.日本企業と連携して 風力発電の発展に貢献

 

施工プロセスを簡素化する
タイセル工法を独自開発

 

タイセル工法の貫通結節構造(出典 株式会社YUJOO)

 
2003年2月に設立された株式会社YUJOO(ユジュ)は、海岸および港湾インフラ構造物のエンジニアリングを専門とする韓国企業である。設立以来、韓国政府から建設、防災安全などの技術認証を多数取得し、さまざまな特許技術を事業化・実用化してきた。同社のコア技術である「タイセル(Tie-Cell)工法」は、中小型のコンクリートブロックを多段に積層し、貫通孔に現場打ちのコンクリート柱(結節柱)を設置・充填することで、水中で強固に一体化させる画期的なブロック連結技術である。

従来の大型ケーソン工法や傾斜堤工法(T.T.Pなど)は、超大型のフローティングドックや大型起重機船とともに、広大な施工ヤードが必要である。これに対しタイセル工法は、小型台船や一般クレーン船で施工が可能であり、地盤改良の範囲も従来工法より大幅に縮小できるのが特長だ。これにより、施工プロセスを簡素化して工期を大幅に短縮し、建設コストを従来工法に比べて約20パーセントから30パーセント削減することができるという。

構造的な安定性においても、貫通結節技術により高い耐波性と転倒抵抗力を確保している。韓国国内では釜山新港や木浦北港などの港湾整備、機張郡七岩港や広安里海辺水親公園といった沿岸防災・景観改善プロジェクトなど、30ヶ所以上の現場で豊富な施工実績を積み重ねている。
 


YUJOO代表取締役CEO 金相基氏

 
代表取締役CEOの金相基(キム・サンギ)氏は、「気候変動に伴う海水位の上昇や大型台風に対し、従来のテトラポットでは大きな波を防ぎきれず人命に関わる事故のリスクもあります。そのため、構造物を水中で一体化させる防波技術の開発に注力してきました」と説明する。
 

 

タイセルブロックの一体化技術を
着床式基礎構造に応用

 

韓国 済州島に建設したタイセル工法の着床式実証施設(出典 株式会社YUJOO)

 

韓国 済州島に建設したタイセル工法の着床式基礎(出典 株式会社YUJOO)

 
YUJOOが開発した着床式洋上風力発電向けの基礎構造は、タイセルブロックの一体化技術を応用している。この技術は、モノパイル工法やジャケット構造の課題を克服するアプローチとして、業界関係者の注目を集めている。モノパイル工法では大型の鋼材加工や専用の大規模な打設船が必要となり、材料費や施工台船のチャーター料が高額になるという課題がある。タイセル工法を応用した着床式基礎は、小型コンクリートブロックを水中で多段に積み上げて貫通結節柱で一体化するため、大型設備に頼らずに施工ができるという。15MW級の風力発電設備を基準とした試算では、モノパイル工法と比較して構造物製作費を約84パーセント削減し、施工台船費用を約61パーセント削減できるという。地盤処理などの付帯費用も含めた下部構造全体の建設コストでは、従来工法の約3分の1(約67パーセント削減)に抑えることが可能だとしている。

また、環境面での優位性も備えている。下部構造の底面積拡大と返波機能を持つ曲面ブロックの配置により、波エネルギーを減衰させると同時に、水中に海洋生物が付着・生息しやすい空間を創出し、人工魚礁としての効果を発揮する。 YUJOOは2023年にタイセル工法を応用した着床式基礎の実証プラントを済州島に建設し、外海での構造安定性を確認している。

金相基CEOは、「タイセル工法の着床式基礎はコンクリートをベースとしているためコストを大幅に低減でき、高波や台風、暴風雪が猛威をふるう日本の過酷な海象・気象環境においても高い構造耐久性と安全性を確保できます」と胸を張る。
 

 

海底の占有面積を縮小する
独自の浮体基礎システム

 

浮体基礎システム「重錘タイセル」の構造(出典 株式会社YUJOO)

 

浮体基礎システム「重錘タイセル」のイメージ図(出典 株式会社YUJOO)

 
大水深海域への適応が期待される浮体式洋上風力発電に向けて、YUJOOは「重錘タイセル(Weighted TIECELL)」と呼ばれる独自の浮体基礎システムを開発している。このシステムは、シリンダー型浮体(Floating body)、ガイドローラーに沿って上下昇降する可動式の重錘ブロック(Weighted block)、そして海底に設置するコンクリートアンカーブロック(Anchor block)の3つの要素で構成される。

波浪や潮位の変化に応じて重錘ブロックが動的に昇降することで、常に最適な復元モーメントを維持し、浮体の傾斜やローリングを最小限に抑えることができるという。従来のチェーンなどを用いた広大な放射状係留と異なり、海底の占有面積を大幅に縮小できる点が特長である。水深100メートル、15MW級風車50基のウィンドファームにおける試算では、アンカーチェーンや複雑な設置作業を削減することで、下部構造費用を従来の係留方式に比べて約64パーセントも削減できるという試算結果が出ている。

さらにYUJOOは、防波堤構造物に風力発電設備、船舶係留施設、パイプライン収容スペースなどを一体化させた「多目的タイセル防波堤システム」も開発している。このシステムは、防波堤自体が風車の基礎を兼ねるため、専用の基礎や海域占有が不要となる。
 

 

日本企業と連携して
風力発電の発展に貢献

 


YUJOO代表取締役CEO 金相基氏

 
YUJOOは、今年9月に千葉市の幕張メッセで開催されたWIND EXPO【秋】に出展し、日本の洋上風力発電や港湾の関係者に向けてタイセル工法を広くアピールした。自治体の再生可能エネルギー・港湾担当者、洋上風力・陸上風力事業者、海洋土木ゼネコン、設備設計会社などへの認知拡大を進めていく。

日本市場への進出のねらいは、台風や高波、地震といった日本の厳しい自然環境・海象条件に対応可能な高耐波・高品質な海岸構造物技術を提供することにある。洋上風力発電の建設費と運用保守(O&M)コストの削減に寄与し、日本の再生可能エネルギー主力電源化を幅広い分野でサポートすることを目指している。日本国内での事業展開にあたっては、自社単独での施工ではなく、アライアンス構築やライセンス供与を通じて日本のパートナー企業(施工会社、ゼネコン、設計会社など)との協力関係を深めていく考えだ。

金相基CEOは、「タイセル工法は、韓国で長年にわたって研究開発と実証を重ねてきた技術であり、大きな台風や地震に対しても極めて高い耐久性を確認しています。日本の設計会社や施工会社のみなさまと、適切なライセンス費用でノウハウを共有し、ともに利益を分かち合いながら日本の風力発電事業の発展に貢献していきたいと考えています」と力を込める。
 

 

問い合わせ


株式会社YUJOO
E-mail:yujoo@yujoo.co.kr


取材・文/ウインドジャーナル編集部

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