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洋上風力ラウンド事業の行方 調達算定委で案件形成の方針を整理

経済産業省は10月28日、第117回調達価格等算定委員会を開催した。洋上風力ラウンド事業について、過去のワーキンググループなどの議論を踏まえ、30円/kWh程度を目安とした案件形成の方針や事業環境整備の状況が報告された。

メイン画像:©fokke baarssen /Shutterstock.com

<目次>
1.事業完遂に向けた 制度見直しとこれまでの議論
2.30円を目安とする方針と 価格調整スキームを検証
3.現行の仕組みが 自立化につながっているのか

 

事業完遂に向けた
制度見直しとこれまでの議論

 


洋上風力第1ラウンド「秋田県能代市・三種町・男鹿市沖」

 
洋上風力ラウンド事業をめぐっては、2025年8月に第1ラウンドの秋田県能代市・三種町・男鹿市沖、秋田県由利本荘市沖、千葉県銚子市沖の3海域で選定事業者が事業中止を公表した。これを受けて、総合資源エネルギー調査会の洋上風力促進ワーキンググループにおいて撤退要因の分析が進められ、2025年12月には公募制度の見直しを含む事業環境整備の方針が取りまとめられた。

現在はこの方針に基づき、3海域における再公募に向けた具体的な条件設定の検討が進められている。また、今年4月に施行された改正海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に関する法律により、EEZ(排他的経済水域)への制度適用や国による海洋環境調査などの実施など、開発領域の拡大に向けた制度整備も進捗している。

調達価格等算定委員会においても、世界的な資機材高騰やサプライチェーンの逼迫、インフレの進行といった事業環境の大きな変化を踏まえ、電源投資を確実に完遂させるための支援のあり方について議論を重ねてきた。

 

30円を目安とする方針と
価格調整スキームを検証

 


当面の案件形成の考え方(出典 経済産業省)

 
10月28日の委員会は、今年度の調達価格や基準価格などの算定に向けた論点案を整理し、今後の審議方針を確認することを主な目的として開催された。足元ではインフレなどによるコスト上昇が生じる一方、賦課金の増大に伴う国民負担抑制との両立や自立化の検証が厳しく問われており、価格算定の検討は慎重な見極めを要する状況にある。

そうしたなかで事務局は、今年7月の第44回洋上風力促進ワーキンググループおよび第115回調達価格等算定委員会で示された案件形成の方針を改めて整理した。具体的には、国民負担の抑制と産業基盤の迅速な構築を両立させる観点から、コスト効率的に事業を実施できる海域を優先することとし、公募ごとに決定する上限価格について「30円/kWh程度までを優先的に案件形成を進めていく目安とする」方向性が示されている。

この水準は、発電コスト検証作業での試算値である30.9円/kWhや、業界団体の試算による平均30円/kWh台半ば、さらに足元の卸電力取引市場価格などを総合的に勘案したものである。あわせて、物価変動リスクに対応する価格調整スキームについても検証が行われた。検討対象となっている40%の調整上限幅について、基準価格の水準次第では国民負担が大幅に増大する懸念があることから、機械的な一律適用を避け、導入量の見通しと組み合わせて歯止めを利かせるなど、慎重かつ柔軟に運用する方針が示されている。

 

現行の仕組みが
自立化につながっているのか

 


一定の条件のもとで機械的に算定した2026年度における価格目標と期待価格水準(出典 経済産業省)

 
10月28日の委員会では、日本大学経済学部教授の安藤至大委員が、電源横断の共通課題として「個々の事業者の取り組みやコスト動向を含め、現行の仕組みが結果的に自立化につながっているかをこの委員会がきっちり見ていくことが重要」と指摘した。

東京大学生産技術研究所教授の岩船由美子委員は、陸上風力で期日までの認定取得困難などを理由に入札前辞退があった点に触れ「制度として不具合がないか、手続きが障壁になっていないか検討してほしい」と要望した。公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会の消費生活アドバイザーである大石美奈子委員は「風力は魅力ある電源であり、国内でのナセル生産拠点整備などを進めてほしい」とサプライチェーン構築への期待を述べた。

東京大学社会科学研究所教授の松村敏弘委員長代理は、同じく全電源共通の原則として「自立化の見通しが立たない電源はいつまでも支援できない。インフレや炭素価格などの共通要因は電源横断で同じ基準を適用すべきであり、自立化できない場合は制度支援から外すことも議論の視野に入る」と述べた。

公募再開の見通しについては、第1ラウンド3海域における再公募条件の具体化が進められる一方、30円/kWh程度のコスト目安の設定を受けて、北海道檜山沖においてセントラル方式による追加サイト調査と事業性の再検討の実施が公表された。この再調査に伴い檜山沖の事業者公募開始時期は大幅に遅れる見通しとなっており、今後の公募スケジュールや案件形成の進展には慎重な見極めが必要な状況が続く見込みである。

公益財団法人地球環境産業技術研究機構システム研究グループリーダーの秋元圭吾委員長は「事務局提示の論点案に異論はない。自立化の進捗を踏まえた支援のあり方や、効率的な水準を参照した価格算定を進めていく」と総括し、次回以降に各電源団体のヒアリングを実施する方針を確認した。

 

 

DATA

第117回 調達価格等算定委員会


取材・文/ウインドジャーナル編集部

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