日本風力発電協会と風力エネルギー学会が協定締結、人材育成で産学連携
2026/10/29
日本風力発電協会と日本風力エネルギー学会は9月29日、連携協力に関する協定を締結した。両団体はそれぞれの知見やネットワークを生かして、次世代を担う人材育成や、産業振興を目指す。
連携協定調印式(左からJWPA 秋吉優代表理事、JWEA 永尾徹会長)
人材育成の産学連携が
相互協力の第一歩

産学連携の方向性(出典 日本風力発電協会)
今回の協定による具体的な連携の第一歩として、まずは次世代の人材育成や教育プログラムに関する分野からの協力を進めていく。また、風力発電に係る課題の共有や普及啓発を目的とした活動に関しても相互協力を進めていく。
日本風力発電協会(JWPA)の秋吉優代表理事は「日本風力エネルギー学会(JWEA)は1977年に学術団体として発足し、日本の風力発電の発展に多大な貢献をされてきた。2001年に発足したJWPAは主に国際活動を通じてJWEAと連携させていただいている。今回の協定でまずは人材育成についての連携関係を築いていく。今後は産業界と学術界がそれぞれの強みを生かし、日本の風力発電のさらなる発展に向けて協働していく」と話した。
またJWEAの永尾徹会長は「学会の前身となる風力エネルギー協会は、日本の風力エネルギーの向上とエネルギーの活性化、多様化を図るという理念を持って、風力を楽しみつつ研究を行っていた。その後、学会となってからは、科学技術を通じて日本や世界のエネルギーに貢献することを目的として活動している。現在700名近くの会員の大部分がエンジニアや大学の研究者ならびに学生というアカデミーの会員組織で、社会との接点がやや少ない。特に学生は風力産業でのキャリアパスが見えにくい。JWPAは風力発電事業で社会に直接貢献する団体であり、研究の成果や学生の受け皿という側面がある。これからは風力発電の研究や仕事に関する情報や、現場に触れる機会を増やしていきたい」と期待を込めた。
「キャリアパスがわからない」
業界の人材不足に危機感

産学連携のイメージ(出典 日本風力発電協会)
人材育成に関しては、これまでもインターンシップにおける学生と企業のマッチングで両団体が連携してきたが、今後は産学連携のもとでこれをシステム化して進めていくことを考えている。近年、風力発電の研究をしている学生が関連企業に就職しないケースもみられる。それは日本国内に大型風車を製造するメーカーがないため、キャリアパスがわからないことも一因だ。JWEAでもどのような仕事があるのかを発信しなければならないが、会員企業は限定的であり、業界の人材不足に危機感を抱いている。そのためJWPAとの連携を通じてインターンシップの受け入れ企業や求人情報などを会員に伝えていく考えだ。
一方、JWPAでも人材育成は日本の風力発電事業の進展における大きな課題と認識している。風力発電事業の案件づくりや健全なオペレーションを通じて、さらに発展していくためには専門人材の確保と育成が必要だが、現状ではさまざまな課題がある。そのため昨年4月に協会内に人材育成推進部会を設置し、課題の整理を行っている。JWPAの秋吉代表理事は、「学術面や学生の確保といった面では弱い部分がある。これからはスムーズに人材育成できるようにしていきたい」と産学連携による成果に期待する。
国産風車のニーズ把握や
サプライチェーン構築でも連携強化

連携協定調印式(出典 日本風力発電協会)
JWEAの永尾会長が取り組んできた風車国産化について、JWPAとの連携への期待を聞くと「国産風車は市場に合ったものをつくる必要があるが、市場のニーズをつかみにくい。その点においてJWPAの知見やアドバイスは大きいものがある。現在、業界関係者へのアンケート調査を行っているが、こうした取り組みも協力の1つの形だと思っている」と語った。
JWPAの秋吉代表理事は、風力産業の現状について「日本におけるサプライチェーン構築も大きな課題の1つ」と話した。現在、大型風車メーカーが日本にないため、主要部品を含めて海外に依存せざるを得ず、納期も長くなりがちだ。さらに為替の影響や原油価格の変動に伴う輸送費の高騰などのリスクがある。秋吉氏は、「日本国内において多くの事業が成り立つことによって、国内で投資して製造工場がつくられていく。サプライチェーンが構築されれば、そこは大きな就職先のターゲットとなり、日本の技術力・競争力の向上にもつながると期待している」と語気を強めた。

DATA
JWPAとJWEAが連携協力に関する協定を締結 ~産学連携を強化、まずは次世代の人材育成から~
取材・文/宗 敦司











