環境省がバードストライク対策を公表、非意図的な改変を回避する取り組みを推進
2026/10/27
環境省は7月28日、希少種の保全に影響を与えるおそれがある再エネ設備の事業者に対して、その種に配慮する一定の義務を課し、順守が不十分な場合に是正を求める仕組みの導入などを盛り込んだ報告書を公表した。
メイン画像:© Pavel Bobrovskiy/Shutterstock.com
非意図的な改変を
回避する取り組みを推進
種の保存に関する法律のあり方検討会報告書(出典 環境省)
環境省は、昨年10月日から今年6月にかけて、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)の在り方検討会」を開催し、種の保存法に関する現状や課題を踏まえた今後の事業開発のあり方について検討してきた。
報告書では、太陽光発電設備の建設による生息・生育環境の消失・劣化や、風力発電設備によるバードストライク(鳥の衝突)などが発生していることから、事業者が希少種の生息・育成環境情報をあらかじめ把握し、非意図的な生息・生育地の改変を回避できるよう促すための取り組みを進めるほか、事業者に対する助言・指導をより適切・効果的に行うための方策について検討を進めるとしている。

風車の大型化、導入拡大で
バードストライクは増加傾向
北海道における海ワシ類バードストライク発生状況(出典 環境省北海道環境局)
全国の風力発電におけるバードストライク発生件数の明確な統計データは存在しない。環境省によると、2000年代前半までは国内に風車自体が少なかったため、発生報告件数は少数にとどまっていたが、近年では導入風車の増加に伴い、報告件数も増加傾向にあるという。また、同省では北海道においてオジロワシやオオワシなど海ワシ類の詳細なデータを収集しており、死亡事故が発生するたびに解析し、その結果「オジロワシの死因として、判明しているものでは風力発電施設へのバードストライクが最も多い」としている。
海ワシ類バードストライク発生状況では、2024年度に17件と、それまで年間で8件以下であったものが急激に増加している。特にユーラスエナジーホールディングスの「浜里ウィンドファーム(北海道幌延町)」では2023年5月の稼働開始以後約2年間で11件のバードストライクの発生が確認されている。同社は欧州で実績のあるバードストライク対策システムを国内で初めて導入したものの、その後も事故が続いたことから、2025年3月に日中の運転稼働の停止措置を公表。システムの性能改善に取り組み、同年7月12日より全14基中13基の日中運転を再開。同12月2日には自動停止機能を追加したことで全14基の日中運転を再開した。
自動停止などの技術も進展
生物多様性と温暖化対策の両立を
ユーラスエナジーHDが導入したバードストライク対策システムは、360度カメラで鳥類接近を検知し、半径300m以内に接近した際にスピーカーで忌避音を発生、そのうえで風車を自動停止し、鳥類が風車から離れたら自動で運転再開するというものだ。
秋田県能代市の大森建設も独自で対策システムを開発し、白神ウィンドファームに設置している。風車周辺に建てた高さ12mの支柱にステレオカメラを設置し、飛来する鳥の群れを自動で感知、鳥の群れが風車から500m以内に近づくと、自動的に風車の運転が停止する仕組みだ。実証ではバードストライクが確認されなかったという。
従来、風車へのバードストライク防止対策としては風車にペイントを施し、鳥類が風車に気づきやすくするという方法が提示されていたが、ほとんど効果が得られないという報告もある。自動停止装置は現状、最も効果的で導入しやすい技術といえる。
種の保存に関する法律のあり方検討会報告書(出典 環境省)
一方、環境省では、そもそも鳥類の飛行ルートや、種の保護増殖事業を国が実施している地域において、再エネ設備の建設や生息・生育地の改変を回避するよう促すほか、そうした地域の事業者に対して順守すべき事項を示し、順守が不十分な場合に事業者に対策の実装方法などについて是正を求める仕組みを検討していく。
希少種保護が強化されると、風力発電や太陽光発電の建設地が減少し、事業性も低下する懸念がある。とはいえ希少種保護を軽んじて良いわけではない、これは温暖化対策と生物多様性の維持のあいだに摩擦が生じる領域であり、この2つをいかに両立させていくのか、継続して模索していくべきだ。まだ詳細が分かっていないバードストライクの発生要因や、事故の詳細などの知見を早期に積み上げて有効な対策を見出し、実施していく必要がある。

DATA
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の在り方検討会報告書の公表について
取材・文/宗 敦司









