【速報】北海道檜山沖でセントラル方式の追加調査 事業性を再検討へ
2026/10/08
経済産業省と国土交通省は10月8日、洋上風力発電のセントラル方式によるサイト調査の対象区域として、和歌山県沖東側と鹿児島県いちき串木野市沖の2海域を新たに選定した。北海道檜山沖では追加調査を実施し、事業性を再検討する。
メイン画像:北海道せたな町沖
政府や自治体が
初期段階からサイト調査に関与

鹿児島県いちき串木野市沖
洋上風力発電の導入拡大に向けて、事業開発初期における手続きや調査負荷を軽減する仕組みの構築が進められてきた。従来の制度では、発電事業者の公募に参加する複数の事業者が個別に風況や地盤調査を実施する必要があり、費用や手間の重複が課題であった。こうした開発における重複を排し、手続きを迅速かつ効率的に進めるため、政府や自治体が初期段階から関与する「セントラル方式」が導入された。
欧州の事例を参考に導入された日本版セントラル方式では、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が主体となり、発電設備の基本設計に不可欠なサイト調査を一括して実施する。風況観測や海底地盤調査、気象海象データの収集を実施し、得られたデータを公募に参加する事業者に提供する。これにより事業者は精度の高い事業計画を低コストで策定可能となり、質の高い競合環境の形成と開発の加速化を図る。
北海道檜山沖で追加調査
事業性を再検討へ
経済産業省と国土交通省は、今年の4月7日から6月5日にかけて都道府県に対してセントラル方式によるサイト調査の実施希望を確認した。その結果、全国の5海域から要望が寄せられた。提出された希望案件について、有識者で構成される第三者委員会での審議と意見を踏まえ精査を行った結果、新たに和歌山県沖東側と鹿児島県いちき串木野市沖の2つの海域がサイト調査の対象区域として選定された。
和歌山県沖東側は、太平洋側に位置し良好な風況が見込まれる。県が主導して関係者との初期協議を進めてきた。鹿児島県いちき串木野市沖は東シナ海に位置し、再生可能エネルギー導入の検討が重ねられてきた地域である。

北海道江差町沖
加えて、「北海道檜山沖」が追加調査の対象区域として選定された。北海道檜山沖は2023年度のセントラル方式導入時にもサイト調査の対象区域に選定されている。北海道檜山沖は、せたな町、八雲町、江差町、上ノ国町の4町の沖合の海域で、出力規模の想定は約91~114万kW。昨年7月に促進区域に指定されているが、経産省では「事業性のさらなる検討およびコスト低減などの観点から、追加調査の対象区域として選定した」と説明している。
北海道檜山沖の事業者公募
大幅に遅れる見通し

北海道檜山沖の促進区域(出典 経済産業省)
今回決定された調査対象区域におけるサイト調査の実施に向けて、JOGMECでは2027年度政府予算の成立を前提として、必要な調整を進めていく方針だ。なお、この調査の実施は海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に関する法律(海洋再エネ整備法)に基づく促進区域の指定につながるものではなく、促進区域の指定については、この調査とは独立して、別途、海洋再エネ整備法に基づく手続きに従って対応することになる。
北海道檜山沖で追加調査が実施されることに伴い、事業者公募のスケジュールが大幅に遅れる見通しとなった。事業性の検証やコスト低減を目的とした再調査が必要となったことで、行政側の公募占用指針の策定や条件整理が先送りされる形となる。これにより、参入を検討してきた発電事業者においては、これまでに策定を進めてきた事業計画や収支シミュレーション、風況・地盤データの評価作業について大幅な修正や仕切り直しを余儀なくされる。
追加調査によって提示される最新データは計画の精緻化に寄与する反面、開発スケジュールの延伸は調達計画やパートナーシップの再構築など事業者側の負担増につながることが懸念される。追加調査による確実なデータ取得と速やかな情報公開が望まれるとともに、参入事業者においては仕切り直しを見越した柔軟かつ綿密な対応策の整理が求められる。
セントラル方式によるサイト調査は、事業者の参入障壁を下げ、開発期間を短縮する大きなメリットを持つ。一方で、取得したデータの精度向上や、現地における漁業権者をはじめとした利害関係者との円滑な合意形成の維持など、実務上の課題も存在する。特に広大な海域での調査活動においては、安全確保と地元関係者への影響を最小限に抑える細やかな調整が求められる。自治体と国、JOGMECが密接に連携しながら開発プロセスを進めることが、日本の洋上風力発電導入目標の達成に向けたカギとなる。
DATA
洋上風力発電のセントラル方式によるサイト調査対象区域について
取材・文:ウインドジャーナル編集部











