海運大手・川崎汽船グループの新会社ケイライン・ウインド・サービスとは
2021/10/21
日本大手の海運会社である川崎汽船。同社グループが2021年6月に設立した洋上風力関連の新会社「ケイライン・ウインド・サービス」について、川崎汽船執行役員の金森聡氏に聞いた。
――ケイライン・ウインド・サービスとは。
日本の洋上風力発電向けの作業船ならびに輸送船の事業を進めるために、川崎汽船と川崎近海汽船の2社が50%ずつ出資して、2021年6月に設立した作業船事業会社です。
川崎汽船グループは、2021年5月に公表した経営計画ローリングプランにおいて、「2030年までのCO2排出効率50%改善」と、「2050年までのCO2排出総量50%削減」を掲げております。
洋上風力関連事業に特化したケイライン・ウインド・サービスの設立は、自社の脱炭素化と並行して、社会の脱炭素化支援を目指すサステナビリティ経営の一貫としても位置付けられているものです。
――洋上風力開発に関するソリューションは。
2019年に創業100周年を迎えた私ども川崎汽船グループは、現在400隻強の船舶を運航しております。洋上風力発電所の開発に必要となる風車やSEP船の曳航、オフショア支援船による事業サポートなど、各種作業・輸送手段をご提供することが可能です。2021年7月、福島沖の浮体式洋上風車の撤去にあたり、150トンの牽引力を有するオフショア支援船「あかつき」による曳航を実施しました。
オフショア支援船「あかつき」
2020年代の後半には、着床式から浮体式への移行が進み、10〜15MWといった大規模風車を建設するプロジェクトが増えてくることでしょう。世界最大級の牽引力390トンを誇る当社グループ保有の作業船のように、より“強力な”船が活躍する機会も訪れるはずです。
また、当社は海運港湾事業を営む中で、日本各地にグループ会社を配置してまいりました。地元との連携が求められる洋上風力開発において、これらのネットワークも力を発揮できると考えております。
そして、現在はヨーロッパが圧倒的に先行していますが、日本での洋上風力発電市場での事業拡大を通じて、日本における新たな雇用創出にも貢献してまいります。
話を聞いた人
川崎汽船株式会社
執行役員
LNG、カーボンニュートラル推進担当
金森 聡氏