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環境省 洋上風力発電の環境アセス技術ガイドに関する意見募集の結果公表

環境省は12月26日、洋上風力発電所の環境影響評価を適正に実施するため、新たに策定した「洋上風力発電所に係る環境影響評価手法の技術ガイド」についての意見募集の結果を公表した。

洋上風力発電の
環境アセスに懸念の声

洋上風力発電の環境調査 出典:東京都大島町

洋上風力発電の環境調査(出典 東京都大島町)

洋上風力発電の導入に関しては、これまで国内における実績が少なく、知見が十分に蓄積されていないことから、環境影響評価においてもさまざまな懸念の声があがっていた。このような背景を踏まえ、環境省は、8名の専門家で構成される「洋上風力発電所に係る環境影響評価技術手法に関する検討会」を設置し、4回の検討会を開催するとともに、関係団体にヒアリングを行いながら技術ガイドを取りまとめた。

技術ガイドは、1.ガイドの背景及び目的、2.技術ガイドの基本的な考え方、3.技術ガイドで想定する洋上風力発電所、4.本技術ガイドにおける環境影響評価の項目の取り扱い、5.環境影響評価の手法等の考え方、6.本技術ガイドの取りまとめにあたっての6項目で構成されている。

陸上風力発電の手法や、他の事業の手法で環境影響評価が可能な項目は、技術ガイドの対象外とした。陸上風力と同様の手法を適用するのは、大気環境、土壌環境・その他の環境、陸上に生育する重要な種の植物および重要な植物群落、人と自然との触れ合いの活動の場の4項目。放射線の量と廃棄物については、他の事業と同様の手法を適用する。

50通、161件の
多様な意見が寄せられる

技術ガイドに盛り込まれたのは、「水環境」、「重要な種の動物および注目すべき生息地」、「海域に生息する動物」、「海域に生育する植物」、「生態系」、「景観」の6項目。環境省は、発電事業者が決定するまで国がアセスの中心を担う、新たな制度の創設を目指している。同省は、今回の技術ガイドは、現行制度に基づいて行われる環境影響評価において活用されることを想定して取りまとめたと説明している。

意見募集は、10月16日から11月15日までインターネットと郵送で受け付けた。この結果、50通、合わせて161件の意見が寄せられた。内容としては、本技術ガイドの取扱いについてや、本技術ガイドで取り扱う事業特性・地域特性について、騒音・振動について、風車の影・廃棄物について、海底地盤の振動について、生態系について、電磁界についてなどの意見があった。意見募集の結果は、環境省ホームページで公開している。
環境省は意見募集を経て、12月26日付けで「洋上風力発電所に係る環境影響評価手法の技術ガイド」を正式に公表した。

DATA

「洋上風力発電所に係る環境影響評価手法の技術ガイド(案)」に関する意見の募集(パブリックコメント)の結果について

洋上風力発電所に係る環境影響評価手法の技術ガイド


取材・文/高橋健一

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