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【第3ラウンドの最新動向】 山形県遊佐町沖は異例の展開、30前後の事業体が参入

経済産業省と国土交通省は今年1月、青森県と山形県の2海域で洋上風力発電事業者の3回目の公募を開始した。山形県遊佐町沖には、これまでに合わせて30前後の事業者が参入の意志を表明し、過去に例のない激しい争いが予想されている。

山形県遊佐町沖
建設拠点は酒田港

山形県遊佐町沖の促進区域案(出典 経済産業省)

山形県遊佐町沖の促進区域(出典 経済産業省)

山形県遊佐町沖は、秋田県境にある遊佐町の沖合。促進区域は、吹浦漁港の南側から酒田市との境界にかけての4131.1ha。着床式の発電出力は45万kWで、モノパイル式基礎の設置を見込んでいる。風車設備の輸送や建設の拠点は、酒田港大浜西埠頭を想定している。

遊佐町の南側にに隣接する酒田市沖も昨年10月に「有望な区域」に整理され、早期の事業化を目指している。酒田市沖の発電出力は50万kW。遊佐町沖と酒田市沖の合計出力は95万kWで、原子力発電所1基と同じレベルに達する。このため、遊佐町沖では早い時期から国内外の発電事業者が計画を公表し、環境影響評価の手続きを進めていた。

サケ漁への影響に
配慮を求める

山形県遊佐町沖

山形県遊佐町沖のフォトモンタージュ(出典 遊佐町役場)

山形県遊佐町沖の法定協議会では、選定事業者が地域や漁業との共存共栄の理念のもと、発電事業で得られた利益の地域への還元を目的として、今後設置される基金への出捐などを行うこと。基金への出捐などの規模については、選定事業者の公募占用計画で示される発電設備出力(kW)の規模に、kW 当たりの単価(250 円)と公募占用計画の最大認定期間(30 年)を乗じた額、すなわち発電設備出力(kW)×250×30 で算定される額を目安とすることを意見集約している。

また、漁業との共存共栄の理念のもと、地域における漁業の状況等に鑑み、海岸線から1海里(1マイル)より陸側の海域には海底ケーブル及びその附属設備を除く洋上風力
発電設備など(ブレード回転エリアを含む。)を設置しないこと。発電事業に支障を及ぼさない範囲で沖側からの設置を検討するとともに、陸寄りの発電設備の基礎などにおいて生じる蝟集(いしゅう)効果がサケなどの稚魚に影響を及ぼすことが懸念される場合には、関係漁業者と協議のうえ必要な対策を行うこと。鳥海国定公園区域内に海底ケーブルおよびその附属設備を設置する場合、自然公園法に基づく申請や届け出が必要となる可能性があるため、設置位置や施工方法などの検討にあたっては、山形県の自然公園法の所管部局と調整を行うこととしている。

さらに、選定事業者はこの海域における漁場および周辺河川でのサケ漁や増殖事業の実態を踏まえ、漁業との協調策などを実施する際には、海面および内水面の両方の関係漁業者と協議を行うこと。発電事業による漁業への影響について十分に配慮するため、選定事業者は、協議会が提案する「山形県遊佐町沖において実施する漁業影響調査の考え方」に記載の内容を十分に考慮したうえで、漁業影響調査に関する検討委員会における議論を経て、具体的な調査内容を設計し、決定すること。漁業影響調査の実施にあたっては、検討委員会を通じて説明・報告を適時行うとともに、そこで出された意見・助言を尊重して取り組むこととしている。

国内外の20事業者が
コンソーシアムを設立

山形県遊佐町沖の公募の行方_

山形県遊佐町沖で環境影響評価を実施している事業者

山形県遊佐町沖で環境影響評価の実施を公表しているのは、合わせて24社。このうちの20社は2021年12月に「遊佐沖洋上風力発電に係る環境アセスメント共同実施コンソーシアム」を立ち上げ、環境影響評価の手続きを共同で進めている。同コンソーシアムは、酒田市に本社を置く土木・建築工事会社の加藤総業が代表者を、コスモエコパワーが事務局を務めている。


(出典:コスモエコパワー)

山形県遊佐町沖では、これまでに複数の事業者によるそれぞれの事業が計画され、環境影響評価手続きも各事業者が実施していたが、同一海域で多数の手続きが実施されることは、行政や地元住民、関係者にとって大きな負担になることから、山形県が事業者に対して、環境影響評価方法書を可能な限り集約化するよう要請していた。同コンソーシアムは、環境影響評価方法書集約化のための組織であり、事業を共同実施する組織ではない。方法書では、計画発電出力が45万kW(単機出力9500~1万5000kW×最大52基)となっている。

4社が独自に
環境アセスを実施

山形県遊佐町沖

山形県遊佐町沖のフォトモンタージュ(出典 遊佐町役場)

遊佐町沖では、同コンソーシアムのほかに、伊藤忠商事が最大出力49万4000kW(9500~1万5000kW✕最大52基)、東京電力リニューアブルパワーが同50万kW(9500~1万8000kW✕最大53基)、日本風力開発が同50万kW(9500~1万5000kW✕最大46基)、中部電力が同45万kW(9500~1万2000kW✕最大47基)の計画を公表し、環境影響評価を実施している。

20社で立ち上げた環境アセスメント共同実施コンソーシアムには、その後も新たに加わった非公表の事業者が複数あり、山形県遊佐町沖には、これまでに合わせて30前後の事業者が参入しているとみられている。事業者の公募の締め切りは今年の7月19日。実際に公募に参加する事業者がどれくらいの数になるのかは不透明な状況だが、過去に例のない大激戦になることは間違いない。経済産業省は日本風力開発と中部電力の2社について、第3ラウンドの2海域への公募参加を認めない方針を決めている。

DATA

再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電事業者の公募を開始します


取材・文/高橋健一

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