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【第3ラウンド最新動向】 青森県日本海南側、9事業体が環境アセス実施 住商・東電グループが参入

洋上風力第3ラウンドで事業者を公募している青森県日本海南側で、新たに住友商事と東京電力リニューアブルパワーが3月14日、共同で事業計画を公表した。同海域で環境影響評価を実施するのは、これで9事業体となった。

<目次>
1. 住商・東電グループが事業計画を公表
2. 森県日本海南側建設拠点は青森港を想定 
3. 9事業体が環境アセスを実施 

 

住商・東電グループが
事業計画を公表

事業実施想定区域

事業実施想定区域(出典 住友商事)

住友商事と東京電力リニューアブルパワーは、青森県つがる市と鯵ケ沢町の沖合で、最大出力67万5000kWの洋上風力発電事業を計画していることを公表し、3月14日から環境影響評価の手続きを開始した。

計画によると、事業実施想定区域は1万425haで、風力発電機の設置区域は約8161ha。1万5000~2万kWの風車を最大45基設置する。海面からの高さは290~365mを見込んでいる。洋上風車の基礎構造は着床式で、モノパイル式、ジャケット式、重力式のいずれかを採用する。必要な工期は4~5年を見込んでいるが、詳しい工程計画は未定としている。

3月14日から4月15日まで、環境影響評価の第1段階である「計画段階環境配慮書」の縦覧を、青森県つがる市役所(本庁舎総務部地域創生課、車力出張所)、鰺ヶ沢町役場政策推進課、深浦町役場(本庁舎総合戦略課、大戸瀬支所、岩崎支所)で実施するほか、両社のホームページでも公表する。

青森県日本海南側
建設拠点は青森港を想定

青森県鰺ヶ沢町沖

つがる市には航空自衛隊や米軍のレーダー施設が設置されている

青森県日本海南側は、風車設備の輸送や建設の拠点を、青森港油川埠頭と想定している。法定協議会では、選定事業者が、地域や漁業との共存共栄の理念のもと、発電事業で得られた利益の地域への還元を目的として、今後設置される基金への出捐などを行うこと。基金への出捐の規模は、系統の最大受電電力量(確保済み系統容量)に、kW あたりの単価(250 円)と公募占用計画の最大認定期間(30 年)を乗じた額、すなわち確保済み系統容量(60 万 kW)×250×30 で算定される額を目安とすることを意見集約している。

また選定事業者は、津軽国定公園区域内および、沿岸住民に対する騒音などの影響防止のため、海岸線から 500m以内の海域には海底ケーブルを除く洋上風力発電設備など(ブレード回転エリアを含む)を設置しないこと。海底ケーブルの設置にあたっては、漁業に支障を及ぼすことがないよう、十分な深さでの埋設を行うこととしている。

青森県つがる市には、航空自衛隊車力分屯基地や米軍車力通信所が設置されている。このため、法定協議会では、選定事業者に対して、洋上風力発電設備などの設置にあたり、あらかじめ洋上風力発電設備などが自衛隊・在日米軍の活動に支障を及ぼすおそれの有無を防衛省に照会し、自衛隊・在日米軍の活動に支障を及ぼさないことを確認することを求めている。されに、公募に参加する事業者は、経済産業省、国土交通省へ提出す
る公募占用計画のうち、発電設備の構造や設置位置について、事前に防衛省に支障がないことを確認するよう求めている。

漁業影響調査については、公募により事業者が選定されたあと、地元の任意協議会に、選定事業者と調査の専門家などを構成員として加え、漁業影響調査の具体的な計画の作成、調査結果・データの公表方法、履行状況および調査結果の評価、調査を行う上で生じた課題などに関する検討を行うとしている。

9事業体が
環境アセスを実施

青森県日本海南側の行方

青森県日本海南側で環境影響評価を実施している事業者

青森県日本海南側では、これまでに9つの事業体が計画を公表し、環境影響評価を実施している。RWE Renewables Japan (ドイツ) 、三井物産、大阪ガスの3社による事業体は発電出力が90万kWと規模が最も大きく、これに日本風力開発と、INFLUXが100%出資する鰺ヶ沢洋上風力発電所がそれぞれ80万kW、JERAと、ヴィーナ・エナジー(シンガポール)、四国電力、東邦ガスの3社、それに東急不動産、CI IV Transfer Coöperatief U.A.(デンマーク)の2社がそれぞれ60万KW、グリーンパワーインベストメントは48万KWと規模が最も小さい。

北側に隣接する青森県日本海北側は、「有望な区域」に整理されているが、法定協議会が一度も開かれておらず、事業化のメドが立っていない。洋上風力第3ラウンドは、事業者公募の締め切りが2024年7月19日。実際に公募に参加する事業者がどれくらいの数になるのかは不透明な状況だが、山形県遊佐町と同様に激しい主導権争いが繰り広げられそうだ。経済産業省は日本風力開発と中部電力の2社について、第3ラウンドの2海域への公募参加を認めない方針を決めている。

DATA

「(仮称)青森県津軽南洋上風力発電事業 計画段階環境配慮書」の公表及び縦覧について

再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電事業者の公募を開始します


取材・文/高橋健一

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