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政策・制度

石川県輪島市検討協議会、浮体式洋上風力の誘致推進を決議 震災復興へ

輪島市洋上風力発電事業誘致検討協議会は3月の臨時総会で、震災からの復旧・復興を進めるため、浮体式洋上風力発電事業の誘致を進めることを決議した。

<目次>
1.誘致検討協議会を2023年9月に設立
2.誘致推進の決議案を全会一致で可決

 

誘致検討協議会を
2023年9月に設立

輪島市は、石川県の能登半島北部にある。同市の沖合では、10年程前に複数の事業者が洋上風力発電事業を計画したが、漁業関係者の反対で中止になった経緯がある。浮体式洋上風力の実現の可能性を検討しようと、「輪島市洋上風力発電事業誘致検討協議会協議会」が2023年9月に設立された。輪島市の坂口茂市長を会長に、市内の商工団体や漁業関係者、有識者、市議会議長、県議会議員、事務局の市職員など31人で構成されている。洋上風力発電事業が市に及ぼす影響や効果について情報収集し、誘致の可否を判断することが目的だ。

輪島市沖では、20~35キロほどの沖合七ツ島から舳倉島にかけての周辺にに浮体式洋上風車約50基を設置し、総出力は80万kWを想定している。2033年の着工を目指している。洋上風力発電所を建設するには、再エネ海域利用法に基づき、地元の利害関係者などを含む法定協議会で合意したあと、国から「促進区域」に指定されることが必要だ。促進区域に指定されると国が事業者を公募・選定し、事業者が風車を建設する。輪島市の協議会は、本格的な手続きを始める前の、地元での検討段階にあたる。

 

 

誘致推進の決議案を
全会一致で可決


浮体式洋上風力の誘致を目指す石川県輪島沖

3月8日に開催された臨時総会では、協議会の会長を務める坂口市長が「誘致の実現は企業進出や雇用創出、定住人口の増加など地域経済の発展に大きく寄与する可能性があり、輪島市の復興をけん引する非常に重要な取り組みになる」と述べ、誘致の必要性を強調しました。そして、誘致推進についての決議案が全会一致で可決され、輪島市沖合に浮体式の洋上風力発電事業の誘致を進めることを決めた。今後、検討協議会は、事業促進協議会と名称を変更し、国や県への働きかけを強めるとともに、海の生態系への影響や風況などの調査を実施して事業誘致を進める。

石川県輪島市沖は昨年8月、環境省が公募していた2つの事業に採択された。輪島建設協同組合が提案した「輪島市沖浮体式洋上風力発電によるエネルギー地産地消・脱炭素化ビジネス形成検討調査」は、同市沖での発電や、エネルギー地産地消、脱炭素化ビジネスの形成について調査・検討する。また、同じく輪島建設協同組合が提案した「ネイチャーポジティブとカーボンニュートラルの同時実現に向けた再生可能エネルギー推進技術等の評価・実証事業」は、発電設備が設置される可能性がある海域に発電設備を模した「観測ブイ」を設置して、魚群の動きなどを把握し、漁業への影響を調べるものだ。洋上風力発電の導入にあたっては漁業関係者の理解を得られるかが最大の課題になっているため、この事業で得られる科学的データが大きなポイントになりそうだ。

DATA

輪島市の産業復興ビジョン

令和6年度浮体式洋上風力導入促進事業 (エネルギーの地産地消を目指す地域における計画策定事業)の採択について

令和6年度ネイチャーポジティブとカーボンニュートラルの同時実現に向けた再生可能エネルギー推進技術等の評価・実証事業(うち浮体式洋上風力発電関連)の公募採択結果について


取材・文/高橋健一

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