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洋上風力向け船舶に水素エンジンの技術・ノウハウ提供 ジャパンハイドロ 世界初の商用水素燃料フェリー「ハイドロびんご」を運航

日本国内で船舶や港湾産業、洋上風力発電などを多方面に、化石燃料の代替として注目される水素エンジンの技術やノウハウを提供する企業がある。ベルギーの総合海運グループのCMB、広島県福山市に拠点を置くツネイシグループが戦略提携・出資して2021年7月に設立されたジャパンハイドロだ。社長執行役員の青沼裕氏に、事業戦略などについて聞いた。

――保有する水素混焼エンジン搭載19総トン型アルミ合金製旅客船「ハイドロびんご(Hydro BINGO)」について教えてください。
「ハイドロびんご」は水素と軽油の混焼エンジンを2機搭載した双胴船で、商用での旅客の搭乗を目的とした世界初となる小型旅客船です。航行時に排出される二酸化炭素(CO2)など地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を大幅に削減したエコシップで、これまでのディーゼルエンジンに比べて最大50%のCO2排出削減を実現しています。

船の後部に可動式可搬式の水素貯蔵タンクを装備し、軽油と別のラインを通じてエンジンへ水素を供給して混焼する仕様となっているため、本船の停泊場所に水素充填の設備が必要なく水素の供給が容易です。国土交通省の「水素燃料電池船の安全ガイドライン」などに沿って設計・建造されており、日本小型船舶検査機構(JCI)の検査に合格しています。

水素で動く船は世界に複数ありますが、商用で一般のお客さまにご乗船いただける船はこれが唯一なのです。

――今後の事業戦略は?
船を所有・運航して、その船から上がってくる運賃や傭船料は海運業における伝統的な収益減であり、弊社でも今後建造・保有していく水素エンジン搭載船による傭船料収益は一定程度期待していますが、ジャパンハイドロ自体はそれが目的ではなく、水素エンジン技術を中心とした脱炭素ソリューションをお客さまにご提案し、設計から納入、そして納入後のメインテナンスまでを一括して請け負うコンサルティング事業をコアビジネスとして展開しています。

――21年9月末に東京ビッグサイトで開かれる「WIND EXPO 風力発電展」に出展する狙いは?
水素エンジンが実用化され、さまざまな活用方法があることを広く訴えたいと考えています。水素や洋上風力発電、脱炭素に一定の関わりのある方々が集まる場所だと思っており、そのような方々に、「今はこういう選択肢ができました」と広く発信したいと考えています。

話を聞いた人

ジャパンハイドロ株式会社
社長執行役員
シーエムビー・ジャパン株式会社
代表取締役
青沼裕氏


取材・文:山村敬一

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