洋上風力30年の実績で日本のサプライチェーン構築にも寄与[オーステッド・ジャパン]
2021/11/12
再エネ海域利用法が施行された2019年に日本市場へ正式に参入した世界最大の洋上風力発電事業者Orsted(オーステッド)。同社の日本支社であるオーステッド・ジャパン代表取締役社長・笠松純氏に、市場形成を控えて活況を呈する日本の洋上風力市場における事業展望について聞いた。
――日本市場における現状の取り組みは。
我々オーステッドは、再エネ海域利用法が施行された2019年に、日本市場に正式に進出しました。秋田県由利本荘市沖、秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖、そして千葉県銚子市沖のプロジェクトの公募に対して、日本のパートナー企業とともに参加を表明しています。
――洋上風力開発に対する企業としての強みは。
洋上風力発電事業において30年以上の歴史を有するオーステッドは、単純な開発事業者ではありません。調査・開発・設計・建設・運転保守(O&M)、そして最終的な解体まで、自社でできるノウハウと会社としての組織があることが我々の強みです。洋上風力事業には 3,000人以上のスタッフが従事しており、これまでに1,600基の風車を設置しました。現状のポートフォリオでは、稼働中のものと建設中のものを合わせると、発電容量は10GWに達します。
また、「浮体式」の開発については、当社の重要な事業として位置づけ、欧州にとどまらず、アジア・アメリカなどへの事業拡大を視野に進めております。すでにスコットランドでの入札案件に対して積極的な参加を表明しておりますが、日本における浮体式洋上風力についても、大きなポテンシャルを秘めたものという認識です。
そして、日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」を実現するためには、洋上風力マーケットを段階的に拡大しつつコストダウンを図る、中長期的な成長戦略が欠かせません。その成長のバックボーンとなるのは、日本におけるサプライチェーンの構築です。
日本には、優れた技術を有する企業が数多く存在します。それらの企業が洋上風力のマーケットに進出すれば、サプライチェーンの国産化や、その先に技術・ノウハウの世界展開を見据えることも十分に可能だと思います。
当社は「グリーン・エネルギーのみで稼働する世界を創る」をビジョンに掲げ、風力発電の導入で先行する欧州や台湾において、サプライチェーンの構築に主体的に関わってきました。その経験を活かしながら、日本の政府や企業の皆様とともに洋上風力事業を積極的に拡大し、サプライチェーンの可能性を切り拓いて、日本の脱炭素化に貢献したいと考えております。
台湾苗栗県のフォルモサ1洋上風力発電所(写真提供:オーステッド・ジャパン)
話を聞いた人
オーステッド・ジャパン株式会社
代表取締役社長
笠松 純氏