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脱炭素先行地域、第1回公募の26件が発表! ついに“脱炭素ドミノ”がスタート

脱炭素先行地域の第1回選定結果が公表された。地域の特性を反映した26件の計画が選ばれ、脱炭素と同時に地域の課題解決も目指す。ついに地方から始まる“脱炭素ドミノ”の幕開けだ。

26件のうち約7割が共同提案
先進性と実現可能性がポイントに

脱炭素先行地域とは、2030年までに民生部門(家庭・業務部門)の電気使用によるCO2排出量を実質ゼロにすることを目指す地域だ。環境省は、2025年度までに少なくとも100の地域を選定し、2030年までに実行するとしており、今年度の当初予算に「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」として200億円を計上していた。

4月26日には、脱炭素先行地域の第1回選定結果が発表された。今回、選ばれたのは、北海道から鹿児島までの26件。そのうち18件が、他の地方自治体や民間企業などとの共同提案によるものだった。共同提案者には、電気やガスなどのエネルギー事業者のほか、学術機関や金融機関も含まれ、多様なステークホルダーと脱炭素化に取り組もうという意気込みが感じられる。

(第1回脱炭素先行地域の一覧。出典:環境省)

評価を行った脱炭素先行地域評価委員会によると、今回の選定では「特に『脱炭素ドミノ』につながる先進性・モデル性と実現可能性があるかどうかに留意しながら、地域特性も踏まえた評価を行った」という。

太陽光は脱炭素先行地域の基盤
BCP対策やブランド化への活用も

各地方公共団体の計画の基礎になっているのは、太陽光発電などによる脱炭素化だ。未利用のスペースや耕作放棄地などに太陽光発電設備を設置する「オフサイトPPA」を計画に盛り込んだのは、宮城県東松島市や神奈川県横浜市など4つの地方公共団体だった。

さらに、こうした太陽光発電などの再生可能エネルギー電源を利用し、脱炭素だけでなく非常時のエネルギー供給に役立てようとする計画も挙げられている。例えば、北海道石狩市は、太陽光発電やバイオマス発電と公共施設をマイクログリッドでつなぎ、防災機能を強化するとした。鹿児島県知名町は、太陽光発電や蓄電池でマイクログリッドを構成し、離島特有の課題である災害時のエネルギー対策に充てるとしている。

一方で、CO2排出のない「ゼロカーボン」を地域の魅力向上のために活用しようとするプランもある。兵庫県姫路市は、国宝の姫路城に再エネ電力を供給し「ゼロカーボンキャッスル」としてPRするという計画を、同尼崎市は、移転予定の野球場に再エネ電力を供給し「ゼロカーボンナイター」などを開催するプランを打ち出した。

今回の脱炭素先行地域第1回公募には、102の地方公共団体から79件の提案が寄せられた。募集期間がわずか2ヶ月弱だったにも関わらず多くの提案が集まったことには、脱炭素先行地域への関心の高さが投影されている。

DATA

環境省:脱炭素先行地域選定結果(第1回)について


文:山下幸恵(office SOTO)

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