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港区、庄内町の風力発電所から再エネ調達。みんな電力のブロックチェーン活用

東京都港区が、山形県庄内町の町営風力発電所で発電した電気を区有施設へ供給する。電力調達にあたっては、UPDATERのブロックチェーン技術を活用し、電源の属性情報を証明できるようにするという。

(アイキャッチ画像:庄内町営風力発電所。出典:株式会社UPDATER)

庄内町の風力発電所から港区へ
ブロックチェーン技術で属性証明

東京都港区は、8月よりUPDATERの小売電気事業「みんな電力」による再生可能エネルギー100%の市場連動型の電気料金プラン「Green Direct RE100」の利用を開始した。同プランでは、5ヶ所の区有施設に対してブロックチェーン技術を活用したP2P電力トラッキングシステム「ENECTION2.0」を使用する。これによって、山形県庄内町の町営風力発電所からの電気を活用する証明ができる。今回の取り組みで、年間約1万トンのCO2排出量を削減できるとしている。

「ENECTION2.0」とは、UPDATERが展開するP2P電力トラッキングシステムだ。発電量と需要量を30分ごとに取引として約定し、その結果をブロックチェーンに書き込む。こうすることで「どの電源からどれだけ電気を買ったか」という電気の属性情報を明らかにできる。2021年に旧社名の「みんな電力」から社名変更したUPDATERは、発電所オーナーのストーリーなどを公開した小売電気事業「顔の見える電力™️」などを通じて“顔の見えるライフスタイル”を目指している。

港区では、2050年までに区内のCO2排出量を実質ゼロにするという目標を掲げている。実現に向け、区内で使用する電力を再生可能エネルギー100%とするプロジェクト「MINATO再エネ100」に取り組んでいるところだ。これまでにも福島県白河市の太陽光発電や、青森県平川市・秋田県大仙市のバイオマス発電などとも連携し、多くの区有施設に再生可能エネルギー電力を導入してきた。

逆転の発想で「清川だし」を利用
40年以上前から風力発電の実証


(1,500kWの庄内町営風力発電所。出典:株式会社UPDATER)

山形県庄内町は古くから、日本海や山岳地帯の影響によって、4〜10月にかけて東南東の強風「清川だし」が吹くことで知られる。清川だしは「日本三大悪風」の1つとされ、農作物へ被害を与えたり大火など災害の原因となったりして敬遠されてきたという。ちなみに、日本三大悪風は、清川だしのほかに岡山県那岐山麓の「広戸風」、愛媛県伊予三島付近の「やまじ風」とされる。

庄内町では以前から、この強風を資源として活用し、町の活性化につなげようと検討を重ねてきた。1980年代から風力発電事業の実証を開始し、2002年には、出力1,500kWの町営風力発電機を稼働した。港区とは姉妹都市であり、町営風力発電所から区有施設への電力供給は2020年7月から行っている。

DATA

株式会社UPDATER プレスリリース


文:山下幸恵(office SOTO)

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