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洋上風力「セントラル方式」で調査、北海道3海域を選定

経済産業省と国土交通省は1月13日、洋上風力発電のセントラル方式を採用して来年度に実施を予定している調査対象区域について、「北海道岩宇、南後志地区沖」、「北海道島牧沖」、「北海道檜山沖」の3区域を選定した。セントラル方式は、風力開発の準備段階の調査や系統協議などを国が一括して行うもので、欧州で実績がある。

セントラル形式を
25年度の公募から適用


調査対象区域に選定された北海道島牧沖

政府は洋上風力発電の普及を促進するため、特定の海域で発電事業者を公募する前に風の状況や地質の調査を国が一括して行う制度を創設する方針。公募に参加する事業者の調査が重複する現行方式のムダを解消し、事業開発に専念できるようにするのが目的。国が公募海域で一定の調査を担う仕組みは「セントラル方式」と呼ばれ、欧州で広く採用されている。政府は、国内の地域特性に合わせた「日本版」として導入し、事業者の負担軽減につなげる考え。来年度に調査に着手し、25年度の公募から適用する。

来年度は「日本版セントラル方式」の一環として、独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が発電事業の採算性分析に必要となる情報を得るための調査を実施する。発電事業者はその調査データを活用することで適切な事業計画の策定が可能となり、それにより質の高い競争性のある事業者公募を実現するとともに、案件形成の加速化を目指す。現在の制度では、公募に参加するすべての事業者が対象海域の風速や地質を事前に調べる必要がある。

毎年度3か所程度で
調査を実施へ

経済産業省と国土交通省は1月13日、洋上風力発電に関するセントラル方式の一環として、JOGMECが来年度に実施を予定している調査対象区域について、都道府県からの情報提供と第三者委員会における意見を踏まえ、「北海道岩宇、南後志地区沖」、「北海道島牧沖」、「北海道檜山沖」の3海域を選定した。発電設備の基本設計に必要となる風況・海底地盤に関する調査データを取得するため、各種の観測機器を用いたサイト調査を実施する。調査で得られたデータは、調査対象海域で洋上風力発電事業を計画する事業者に提供して、事業者による発電事業計画の策定を支援する。

政府は24年度以降も、毎年度3か所程度の海域で調査を実施し、40年に3,000~4,500万kWの洋上風力発電の案件形成を目指す。将来的には、周辺の生物などへの影響を調べる「環境影響評価」も組み込む方向で検討する。経産省と国交省は、今回の調査対象区域の選定が再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定に直ちにつながるものではなく、促進区域の指定などについては、別途、所定の手続に従って対応するとしている。


取材・文/高橋健一

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