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国内事例

富山県入善町沖で本格着工 清水建設の大型SEP船が初稼働

富山県入善町沖の洋上風力発電事業で、清水建設の大型SEP船が4月3日から洋上で基礎工事を開始した。今月中旬頃にかけて風車の基礎を海底に打設し、5月上旬頃から洋上風車の本体工事に取りかかる。総工費約500億円の大型SEP船が本格的に動き出した。

5月上旬頃から
風車の本体工事

清水建設 SEP船
七尾港で基礎部材を積み込む大型SEP船「BLUE WIND」(出典 ウェンティ・ジャパン)

入善町沖の事業は、ウェンティ・ジャパン(秋田市)とJFEエンジニアリング、北陸電力(富山市)でつくる「入善マリンウィンド合同会社」が進めている。計画では、富山県北東部の入善町沖の水深約10~12メートルに、海面から高さ152メートル、出力3000キロワット級の風車を3基設置する。最大出力は約7500キロワットで、一般家庭3600世帯分の電力使用量に相当する。総事業費は約61億円。民間企業が100%出資して港湾などを除く一般海域に洋上風力発電所を設置するのは国内初となる。

清水建設の大型SEP船「BLUE WIND」は、昨年10月の完成・引き渡し以降、広島県沖の瀬戸内海で習熟訓練をしたあと、3月23日に建設拠点となる石川県の七尾港に入港した。同船は全長142メートルで、タグボートなどが不要な自航式。全幅50メートル、総トン数が2万8000トンで、クレーンの最大揚重能力(吊り上げ能力)は2500トン、最高揚重高さは158メートル。8000キロワット級の風車なら7基、1万2000キロワット級なら3基分の全部材を一度に搭載できる。

大型SEP船「BLUE WIND」は七尾港で風車の基礎部材を積み込み、入善町沖に到着した。4月3日から風車の基礎を海底に打設する工事を開始している。現場の近くでは、住民が海岸から作業の様子を見守り、船体の大きさに驚いた様子をみせていた。事業主体のウェンティ・ジャパンは「洋上の工事が本格化して、地元のみなさんの期待の大きさを感じている。小中学生の学習用の教材としても活用していただきたい」と話している。

大型SEP船「BLUE WIND」は作業能力も高く、予備日をみても8000キロワット級の場合は7基を10日、1万2000キロワット級の場合は3基を5日で据え付けられる。船体のジャッキアップ・ダウンが可能で、既存のSEP船に比べ5割程度高い稼働率を発揮できるように設計された。入善町沖の工事は、天候の様子をみながら2日に1本のペースで基礎を海底に打設し、いったん七尾港に戻ったあと、5月上旬頃から洋上風車の本体工事を開始する予定。完成は8月の予定で、9月1日の運転開始を目指す。その後、大型SEP船は北海道へ向かい、「石狩湾新港洋上風力発電事業」の施工に向けて6月中に室蘭港で艤装を整え、7月から始まる海上工事に備える。

6つの金融機関が
67億円を事業融資

完成イメージ図
完成イメージ図(出典 ウェンティ・ジャパン)

北都銀行(秋田市)は3月31日、入善町沖の洋上風力発電事業に対し、富山県内の金融機関などと総額67億円を融資する契約を結んだと発表した。今回の融資は、特定の事業から生み出される利益を返済の原資とし、債権保全のための担保も対象事業の資産に限定する「プロジェクトファイナンス(事業融資)」の手法を採用している。北都銀行が主幹事を務め、北陸銀行(富山市)と商工中金、第四北越銀行(新潟市)、富山銀行(富山県高岡市)、富山第一銀行(富山市)の6つの金融機関が参加する。

北都銀行によると、地方銀行が中心となって洋上風力発電向けの事業融資を組成するのは今回が初めて。北都銀行は「プロジェクトファイナンスのアレンジ業務を通じて蓄積したノウハウを、今後も再エネ事業などに活用し、脱炭素社会の実現に貢献していきたい」としている。事業主体のウェンティ・ジャパンは「地元の多くの金融機関が参加していただいたことに大きな意味を感じている。地元第一という思いをより一層強く持って、事業に取り組んでいきたい」と話している。


取材・文/高橋健一

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