環境省が来年度にもセントラル方式を導入へ 11日に検討委初会合
2023/05/02
環境省は洋上風力発電の環境影響評価について、国が一部を代行する制度を早ければ2024年度から導入する方針を固めた。5月11日に検討委員会の初会合を開催し、この夏をめどに方向性を示す。11日の会議はYouTubeでライブ配信する予定。
2022年度は
課題を整理
2022年度にセントラル方式の環境調査が実施された山形県遊佐町沖
政府は洋上風力発電の普及を促進するため、環境影響評価の一部を国が代行して行う制度を創設する方針。公募に参加する事業者の調査が重複する現行方式のムダを解消し、運転開始の時期を早めるのが目的。国が公募海域で一定の調査を担う仕組みは「セントラル方式」と呼ばれ、欧州で広く採用されている。環境省は、セントラル方式による環境調査を、2022年度に山形県遊佐町沖で、2023年度は新潟県村上市・胎内市沖と千葉県いすみ市沖で実施する予定。
環境省は2022年度に有識者や学識経験者による検討会を立ち上げ、日本版セントラル方式を導入するにあたっての課題を整理した。このなかでは、海域の状況に応じ、調査内容や、調査結果の活用方法を整理し、取りまとめ、公表したうえで、必要な現地調査などを実施することとしてはどうか。具体的な事業諸元を含む事業計画がつまびらかになる前に調査内容などを検討する必要があるため、選定された事業者が手戻りなく環境影響評価手続を進められるよう、国においては、将来選定され得る事業者の具体的な事業諸元を含む事業計画が包含されるような事業形態の大枠を整理したうえで、環境影響評価の設計を行うこととしてはどうかなどの意見が出された。
また、当該設計を行うタイミングについても今後検討が必要であるとして、現地調査を行う具体的な海域やそのタイミング、事業形態の大枠に盛り込むべき要素やその粒度については、今後、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が実施する基本設計に必要な風況・海底地盤・気象海象に係る情報・データに関する調査のタイミング・内容や国による系統接続の確保の検討内容なども踏まえ、利用可能な情報を整理したうえで具体的に検討を行う必要がある。これに加えて、国と事業者が役割分担をして環境影響評価手続を行う場合には関連する責任の所在や費用の分担の考え方についても今後整理が必要であるとする意見をとりまとめた。
日本版セントラル方式のイメージ(出典 環境省)
今年度は新たに「洋上風力発電の環境影響評価制度の最適な在り方に関する検討会」を立ち上げ、これまでの議論を踏まえ国が実施する具体的な調査内容や活用方法、タイミングなどを議論する。早ければ、この夏に方向性を示し、法改正も視野に入れて2024年度にも制度を見直す方針。検討会の概要は下記のとおり。
「洋上風力発電の環境影響評価制度の最適な在り方に関する検討会(第1回)の概要」
開催日時 5月11日(木)14:00~16:30
(YouTubeでライブ配信)
議題(予定)
・令和4年度洋上風力発電の環境影響評価制度の諸課題に関する検討会の報告について
・関係団体からのヒアリング
DATA
取材・文/高橋健一