千葉県いすみ市沖に東京電力RPが参入 8事業体の争いに
2023/08/01
再エネ海域利用法に基づく有望な区域に選定されている「千葉県いすみ市沖」の洋上風力発電事業に、新たに東京電力リニューアブルパワーが参入の意思を表明し、環境影響評価の第1段階である計画段階環境配慮書の縦覧を8月1日から開始した。同海域には、これまでに8事業体が参入している。
国内最大規模
2万kWの風車を検討
東京電力リニューアブルパワーの事業実施想定区域(出典 東京電力RP)
千葉県いすみ市沖は、2021年9月に再エネ海域利用法に基づく「有望な区域」に選定された。事業実施想定区域は、いすみ市太東沖から岩船沖までの共同漁業権区域内の砂地部分で、離岸距離は3キロ以上。具体的な区域については、漁業との共存・共栄を前提として、国、県、市、漁業関係者などによる協議などをふまえて決定するとしている。
東京電力リニューアブルパワー(東京電力RP)は7月31日に事業計画を公表した。計画では、いすみ市の沖合に単機出力1万5000~2万kWの風車を最大44基設置する。最大出力は66万kWで、事業実施想定区域の面積は約9458.6ha。風力発電機の基礎構造は着床式で、モノパイル式とジャケット式、サクションバケット式、重力式の4種類を検討している。
単機出力2万kWの風車はローターの直径が約300m。海面からの高さは約365mを想定している。今後のスケジュールの詳細は検討中としているが、2028年以降に基礎工事に着手し、2030年以降の運転開始を目指す。8月1日から8月31日まで、計画段階環境配慮書の縦覧を千葉県庁やいすみ市役所、一宮町役場、御宿町役場で実施するほか、東京電力RPのホームページでも公表している。
8事業体が参入
競争激化へ
千葉県いすみ市沖には、これまでに8つの事業体が参入して、環境影響評価の手続きを進めている。今年3月には、千葉県銚子市沖で事業を進める三菱商事洋上風力が最大52万kWの計画を公表し、計画段階環境配慮書の手続きを終了している。
いすみ市沖が「有望な区域」に選定されたことをうけて、経済産業省と国土交通省、千葉県は、2022年2月に第1回法定協議会を開催した。協議会では、促進区域の指定に向けての手続きや今後のスケジュールを説明するとともに、地元の関係者から意見を聴取した。しかし、その後は法定協議会が開催されていない。いすみ市沖がこの秋に促進区域に指定されるのは難しいとみられているが、事業者側の動きは熱を帯びてきている。
DATA
「(仮称)千葉県いすみ市沖洋上風力発電事業 計画段階環境配慮書」の送付及び縦覧について
取材・文/高橋健一