北海道と本州の海底送電線 柏崎刈羽原発の送電線活用が有力候補
2023/10/12
国の認可法人・電力広域的運営推進機関が、北海道と本州の日本海側を結ぶ海底送電線ルートについて、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)付近で陸揚げして周辺の送電網につなぎ首都圏に送ることを有力候補としていることが明らかになった。
後志管内を起点
新潟県まで敷設を検討
広域連携系統のマスタープラン(出典 電力広域的運営推進機関)
9月22日に開催された電力広域的運営推進機関(広域機関)の広域系統整備委員会で報告された。広域機関は今年3月に策定した広域連携系統のマスタープラン(送電網整備の長期計画)で、2050年までに北海道から東北までの日本海側に400万kW、太平洋側に200万kWの海底送電線を新設すると発表している。
日本海側ルートのうち200万kW分は、2030年度までに先行整備される予定。9月22日に開催された広域系統整備委員会では、北海道と本州の日本海側を結ぶ200万kWの海底送電線ルートについて、北海道の南西部に位置する後志(しりべし)管内を起点として秋田県を経由し、新潟県までの敷設を検討していることが報告された。
柏崎刈羽原発の
送電線活用が有力候補
交流系統と直流系統の連系地点(北海道)出典 電力広域的運営推進機関
報告書によると、海底送電線の起点を後志管内にしたのは、石狩管内に比べると積丹半島を迂回せずに済み、費用や工期を抑えられるためとしている。道南についても検討したが、道内と本州を結ぶ送電設備が集中しているため、災害時に変換機同時停止のリスクが高くなるとしている。
交流系統と直流系統の連系地点(東北)出典 電力広域的運営推進機関
交流系統と直流系統の連系地点(東京)出典 電力広域的運営推進機関
本州側では、洋上風力発電の導入が進む秋田県周辺で陸上の送電網と接続することを検討している。そこから再び海底送電線で南下したあと、新潟県の東京電力柏崎刈羽原発付近で陸揚げして周辺の送電網につなぎ首都圏に送るルートを有力候補として考えているとしている。
政府は、海底送電線を整備し、北海道や東北で発生した電力を大消費地の首都圏に送り、電力供給網の強靱化につなげる方針。北海道と本州の日本海側を結ぶ200万kWの海底送電線ルートは、海底調査の結果などを踏まえ、今年度中に計画の概要を固め、2024年度に正式な整備計画が策定される見通し。
DATA
取材・文/高橋健一