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政策・制度

北海道松前沖、13日に法定協 事業化に向け道内初開催

経済産業省と国土交通省、北海道は、松前町沖の法定協議会を今月13日に開催すると発表した。道内初の法定協開催で、事業化に向け本格的に動き出すことになるが、漁業者との調整が大きな焦点となる。

今年5月に
5海域が有望な区域に

北海道では、今年5月に日本海側の「石狩市沖」、「岩宇・南後志地区沖」、「島牧沖」、「檜山沖」、「松前沖」5海域が再エネ海域利用法に基づく「有望な区域」に整理された。これまで5海域は、「一定の準備段階に進んでいる区域」に整理されていたが、昨年9月の選定ではどの海域も「有望な区域」に格上げされず、関係者のあいだに焦燥感が広がっていた。このため、北海道は漁業者との調整を進めるとともに、本州と接続する送電網の整備を国に強くはたらきかけてきた。

有望な区域に整理されたことをうけて、北海道は国と連携し、各海域で法定協議会の設置の準備を進めてきた。松前沖では設置について関係者の理解が得られたことから、今月13日に初会合を開催することを決めた。法定協議会のメンバーは、経産省や国交省、北海道のほか、松前町、松前さくら漁協、学識経験者などで構成される。風向きや風の強さ、海底の地形などの自然条件を精査するほか、漁業への影響、地域振興策などについて意見を交わす予定。

経産省によると、松前沖の風車設置検討範囲は折戸浜沖から原口沖までの約23㎢。海岸から2㎞以内の水深10m~50mのエリアを設置可能な海域としている。最大出力は31万5000kW。1万kWの風車が25基、1万5000kWの風車であれば21基を設置することが想定されている。

松前沖でも
漁獲高が低迷

松前町沖

北海道松前沖 今年5月に有望な区域に整理された

松前町の特産はスルメイカ。乾燥したスルメや松前漬の製造が盛んだが、近年は漁獲量が大幅に落ち込んでいる。北海道のまとめによると、2021年のスルメイカ漁獲高は39トンと、10年前の2%に激減している。10年前に比べてホッケは8割%以上、単価が高いマグロも6割以上減った。漁獲高全体では、10年前の3分の1にとどまっている。

漁業への不安が高まる中、松前町は、2030年に温室効果ガス排出量を2013年に比べて80%削減し、2050年には実質0%の脱炭素化を目指す。そのため、2030年にはエネルギー消費量を2018年よりも60%削減するとともに、再エネ電力の使用率を現在の0%から70%に引き上げるほか、再エネ発電電力量を現在の5倍の500GWhに増やす目標を掲げている。13日に開催される法定協議会では、町が再エネの導入を推進するなか、漁業者との調整や、洋上風力発電を地域振興にどのようにつなげていくのかが大きな焦点となる。

会議の様子は、YouTubeでライブ配信する。配信ページURLと資料については、後日、経済産業省、国土交通省のホームページに掲載する。

DATA

再エネ海域利用法に基づく協議会の開催について


取材・文/高橋健一

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