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東芝ESS 国内初の「風車ウェイク」観測・評価の研究開発

東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS)を代表法人とするコンソーシアムが、今年度から秋田市の秋田港湾区域で、洋上風力発電所の「風車ウェイク」の観測および評価手法の検討に関する研究開発を行うことを明らかにした。

6団体が連携して
研究開発

風車ウェイクのイメージ図(出典 日本気象協会)

風車ウェイクのイメージ図(出典 日本気象協会)

この実証事業は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した風力発電等導入支援事業「洋上ウィンドファーム開発支援事業」で採択された。コンソーシアムには、東芝ESSのほか、東京大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、日本気象協会、ウインドエナジーコンサルティング、日本海事協会が参加している。

風車のブレードが回転すると、風の下流側には「風車ウェイク」と呼ばれる、風速が低下する場所や風の乱れが大きくなる場所が形成される。風車配置や風の条件にもよるが、洋上風力発電所全体でみて総発電量の10~20%が失われる場合もある。

風力発電所、特に大規模洋上風力発電所の発電効率をより高めるには、「風車ウェイク」の影響解析を正確に行うことが極めて重要とされている。東芝ESSは、10年以上にわたり、「風力ウェイク」を含む風況観測や、解析に基づく風車の配置最適化に関する研究開発を進めてきたが、研究施設でのシミュレーションや陸上の風力発電所における実証にとどまっていた。

秋田港湾区域の
洋上風車で実証

秋田港湾区域の洋上風車

秋田市 秋田港湾区域の洋上風車

今回の事業は、秋田市の秋田港湾区域で今年1月に商業運転を開始した13基の洋上風車で実証を行う。実証期間は、今年度から2026年3月まで。具体的には、最新のリモートセンシング技術を用い、風の風車への流入、風が風車通過後に生じるウェイク、さらに複数の風車から生じるウェイク同士の相互干渉を同時に計測し、日本特有の環境下(海風・陸風、大気安定度、季節など)における風速欠損や風の乱れ、ウェイクによる風速の減衰などを評価する。

大気安定度とは、対流や乱流により大気の状態の変化しやすさを示す指標。安定度が低い場合、発電効率が向上する一方、大気が不安定なため、風速や風向が変化しやすく、雷や突風の発生など風車に損傷を与えたりするため、これらを考慮した風況予測は重要となる。

風車ウェイクの
観測・評価手法を確立へ

実際の洋上風力発電所での「風車ウェイク」の観測・評価の実証は国内初となる。洋上風力発電所で観測を行うことにより、日本特有の洋上環境を踏まえたうえで、気象条件が風車ウェイクの形成に与える影響の評価手法の確立を目指す。また、風車の大型化に伴いブレードの最高到達高度も高くなり、ウェイクの形成が洋上特有の気象条件の影響を受けると予測されており、その評価を併せて行う。

さらに、今回組成した産学連携のコンソーシアムで、ウェイクの観測手法を確立するための指針作成の検討を行う。東芝ESSは、「これからもエネルギー分野における豊富な知見・技術・ノウハウを生かし、デジタル技術と掛け合わせることで、エネルギーシステム全体の価値を向上させる開発を進め、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します」としている。

DATA

「風車ウェイクの観測および評価手法の検討に関する研究開発」に係る実施体制の決定について

国内初、洋上風力発電所での「風車ウェイク」観測・評価を実施


取材・文/高橋健一

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