商船三井 風車O&M国内最大手の北拓を連結子会社に
2024/01/10
商船三井は1月10日、風力発電設備のO&Mで国内最大手の北拓(北海道旭川市)の過半数の株式を取得し連結子会社としたと発表した。商船三井は、北拓の豊富な実績とノウハウを活かして洋上風力発電事業の拡充を目指す。
(アイキャッチ画像 商船三井 橋本剛社長と北拓 吉田ゆかり社長 出典 商船三井)
国内の陸上風車の
8割近くにサービス提供
陸上風車のメンテナンス作業(出典 北拓)
商船三井と北拓は2017年から協議をはじめ、洋上風力発電事業の拡充を進める商船三井と、個人オーナーからの脱皮を目指す北拓の利害が一致し、資本提携をすることにした。商船三井は1月9日に北拓の過半数の株式を取得して連結子会社にした。出資額は非公表。北拓の社名変更、本社移転、役員変更はないとしている。
北拓は1970年に、北海道旭川市で株式会社北拓クリーニングとして創業した。風力発電施設の計画が各地で具体化し始めたことに着目して1999年、社内に風力発電メンテナンス部門を新設する。その後、陸上風力発電施設の受注を増やし2006年、メンテナンス部門を分社化して株式会社北拓を設立した。いまでは、⽇本に建設されている⾵⾞約2600基のうち、およそ80%にO&Mに関わるサービスを提供している。
洋上風力産業の
拡充に貢献
2024年1月10日の記者会見
商船三井は「北拓との資本提携を通じ、北拓が有する風力発電メンテナンスにおける豊富な実績とノウハウ及びネットワークと、商船三井グループの海運業をはじめとした社会インフラ事業での操業経験を掛け合わせた新たな価値を創出し、洋上風力発電のバリューチェーン全体で業界のパートナーから選ばれる存在となることで、洋上風力産業の拡充に貢献することを目指します」としている。
記者会見した北拓の吉田ゆかり社長は、「洋上風力フェーズでは急速に事業規模が拡大しているため、商船三井との資本提携によって、更なる成長戦略を描くことができると考えた。また、わたしたちは社員1人ひとりと向き合って経営に取り組んできたが、社員やその家族の思いも尊重して頂けるということで、大変嬉しく思っている。これまで、どこにも属さない形でO&M事業を進めてきたが、商船三井は業界の中で色がついていない企業であると認識して、資本提携をさせていただいた」と話した。
DATA
取材・文/高橋健一