注目キーワード

English 日本語

政策・制度

【第2ラウンド深堀り解説①】第2ラウンド4海域 それぞれ別々の企業連合が選定事業者に

洋上風力第2ラウンドで公募していた4海域の選定事業者が出そろった。1事業体あたりの発電・送電容量の上限を計100万kWとする落札制限を設けたこともあって、公募参加を見送る事業体が相次ぎ、4海域でそれぞれ別々の企業連合が選定された。

<目次>
1. 秋田県八峰町、能代市沖 JRE、東北電力連合が選定事業者に
2. 秋田県男鹿市、潟上市、秋田市沖 JERA、伊藤忠連合が選定事業者に
3. 最大海域の新潟県沖も 運転開始時期が明暗分ける 
4. 長崎県西海市江島沖 2事業体が大接戦に 

 

秋田県八峰町、能代市沖
JRE、東北電力連合が選定事業者に

秋田県八峰町、能代市沖の評価結果(出典 経済産業省)

秋田県八峰町、能代市沖の評価結果(出典 経済産業省)

第2ラウンドで公募した4つの海域ともに運転開始予定時期が最も早い事業体が選定された。秋田県北部の「八峰町、能代市沖」は、3つの事業体が入札に参加した。選定事業者は、ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)、イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパン、東北電力の3社で構成する「合同会社八峰能代沖洋上風力」。代表企業のJREは、ENEOSグループの再エネ事業会社。イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパンは、スペインに本社があるイベルドローラの日本法人。事業計画によると、発電設備は着床式。発電設備出力は37万5000kW (1万5000kW×25基、Vestas製)。運転開始予定時期は2029年6月。

秋田県男鹿市、潟上市、秋田市沖
JERA、伊藤忠連合が選定事業者に

秋田県男鹿市、潟上市、秋田市沖の評価結果(出典 経済産業省)

秋田県男鹿市、潟上市、秋田市沖の評価結果(出典 経済産業省)

3つの海域ともに運転開始予定時期が最も早い事業体が選定された。秋田県中部の「男鹿市、潟上市、秋田市沖」は、3つの事業体が入札に参加した。選定事業者は、JERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力の4社で構成する「男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energyコンソーシアム」。事業計画によると、発電設備は着床式で、モノパイル式基礎を採用する。発電出力は31万5000kW(1万5000kW×21基、Vestas製)。運転開始予定時期は2028年6月。

この海域でも、公募に参加した3つの事業体が、いずれも実質的な下限価格であるゼロプレミアムの3円/kWh以下で応札したため、価格点では差がつかず、結果として運転開始時期が最も早い事業体が選定された。

最大海域の新潟県沖も
運転開始時期が明暗分ける

新潟県村上市、胎内市沖の評価結果(出典 経済産業省)

新潟県村上市、胎内市沖の評価結果(出典 経済産業省)

第2ラウンドで対象海域が最も広い新潟県村上市、胎内市沖は、4つの事業体が入札に参加した。選定事業者は、三井物産、RWE Offshore Wind Japan村上胎内、大阪瓦斯の3社で構成する「村上胎内洋上風力コンソーシアム」。事業計画によると、発電設備は着床式で、モノパイル式基礎を採用する。発電出力は68万4000kW(1万8000kW×38基、GE製)。運転開始予定時期は2029年6月。この海域では、上位3つの事業体が3円/kWh以下で応札し、ここでも運転開始時期が明暗を分けた。

長崎県西海市江島沖
2事業体が大接戦に

長崎県西海市江島沖の評価結果(出典 経済産業省))

長崎県西海市江島沖の評価結果(出典 経済産業省))

長崎県西海市江島沖は、2つの事業体が入札に参加した。選定事業者は、住友商事、東京電力リニューアブルパワーの2社で構成する「みらいえのしまコンソーシアム」。事業計画によると、発電設備は着床式で、ジャケット式基礎を採用する。発電出力は42万kW(1万5000kW×28基、Vestas製)。運転開始予定時期は2029年8月。供給価格は22.18円/kWh。モノパイル式よりもコストが割高なジャケット式を採用するため、ゼロプレミアムの3円/kWhで応札した事業体はなかった。

2つの事業体が激しい主導権争いを繰り広げた長崎県西海市江島沖。「みらいえのしまコンソーシアム」は、事業実現性評価点で大きく下回ったものの、競合相手よりも7円/kWh近く低い価格を提示して、大接戦を制した。

公募参加を見送る
事業体が相次ぐ

長崎県西海市江島沖

秋田、長崎の計3海域で、Vestas製の風車を採用(長崎県西海市江島沖)

洋上風力第2ラウンドでは、1つの事業体が大半の対象海域を落札しないよう、1事業体あたりの発電・送電容量の上限を計100万kWとする落札制限を設けていた。この影響もあって、環境影響評価を事前に実施したにも関わらず、公募参加を見送る事業体が相次いだ。

入札の結果、4海域でそれぞれ別々の事業体が選定され、風車メーカーは、「秋田県八峰町、能代市沖」と「秋田県男鹿市、潟上市、秋田市沖」、「長崎県西海市江島沖」がVestas。新潟県村上市、胎内市ではGEが採用された。第1ラウンドで秋田、千葉の計3海域を落札した三菱商事は、第2ラウンド4海域の入札に参加しなかった。


取材・文/高橋健一

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.09 | ¥0
2025/9/17発行

お詫びと訂正

広告お問い合わせ

アクセスランキング

  1. 【洋上風力第1ラウンド】「秋田県能代市・三種町・男鹿市沖」、「由利本荘市沖」法定協議会 地元港湾の積極的な活用を要望
  2. 【洋上風力】千葉県九十九里沖、12月15日に第1回法定協議会 事業化に向けて動き出す
  3. 【参加受付中!】第5回WINDビジネスフォーラム 「風力発電の安全対策とサプライチェーン構築」
  4. 長崎県五島市沖の浮体式洋上風車 来年1月稼働へ建設大詰め、大型量産化に対応した技術開発も
  5. 【洋上風力の事業環境整備】事業実現性の適切な評価とサプライチェーン形成の定義の明確化を要望
  6. 【洋上風力第1ラウンド】年明け以降に再公募を実施へ 応札価格に下限と上限を設定
  7. 【洋上風力第1ラウンド】3海域の再公募手続きが動き出す、情報提供の申請受け付け開始
  8. 【洋上風力第2ラウンド】秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖 3年後の運転開始に向け陸上工事が本格化
  9. 【特集】洋上風力「第4ラウンド」の動向まとめ 異例の展開のラウンド事業の行方は?
  10. 【洋上風力】事業環境整備の見直し案を公表 第2・第3ラウンド事業者に長期脱炭素電源オークションへの参加容認

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.09 | ¥0
2025/9/17発行

お詫びと訂正